2,500年前、中国の思想家、孔子が道教の祖、老子に尋ねた。「タオ(道)とは何ですか」。老子は口を開けたものの言葉を発しない。孔子は笑みを浮かべて立ち去ったが、弟子たちにはさっぱり意味がわからなかった。孔子は次のように説明した。「老子は我々にタオをお示しになったのだ。彼の口に歯はなく、あるのは舌のみ。剛きもの(歯)は死に、柔らかきもの(舌)が生きる。柔よく剛を制す。それがタオだよ」 オープンソースはそうした柔の力にあたる。老子は著書『道徳経』の中で「柔の力は水の如し」と説明している。一滴の水は無力だが、大量の水には激流を生む力がある。同様に、1人のオープンソース参加者に大きな力はないが、そうした人が数多く集まることでオープンソースコミュニティの力は強大なものになる。一方、従来のソフトウェアは剛の力であり、歯のようなものだ。1本の巨大な歯(たとえばMicrosoftがこれにあたる)は強いかも