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ブックマーク / agora-web.jp (94)

  • 予想と実績の区別

    論理的に議論をするためには、概念を明確に区別することが不可欠である。とりわけ、名目と実質の概念の区別と並んで、予想と実績の区別も重要である。 例えば、「インフレになると実質金利が下がる」というのは厳密には誤りで、「インフレ予想が高まると(フィッシャー効果で同率の名目金利の上昇が生じない限り)実質金利が下がる」というのが正しい。実質金利は、これからの先行きにかかわるもの(forward lookingな概念)であって、その限りで足下のインフレ率の実績とは関係ない。もちろん、足下のインフレ率の実績が将来のインフレ予想に反映される傾向が強いので、実績としてインフレになれば、インフレ予想も高まると想定できる場合が少なくない。こうした想定に立って、上で述べたことを理解した上で「インフレになると実質金利が下がる」といっているのならいいのだが、予想と実勢の概念区別に無頓着なままではミスリーディングである

    予想と実績の区別
  • 「賃上げ要請」でスタグフレーションが起こる

    アゴラではアベノミクスを批判する記事が多いが、これは編集部が検閲しているからではない。小倉正男氏の記事は珍しく安倍政権を賞賛する意見としておもしろいので、簡単にコメントしておこう。 まずローソンが「アベノミクスに賛同して賃上げする」という発想が奇妙だ。もちろんローソンの業績がよければ賃上げするのは経営者の自由だが、もともとインフレ目標まで設定して物価を上げようとしているのに、賃上げしたらインフレの効果が帳消しである。 「日銀に雇用最大化の義務を課す」といっていた安倍首相が企業に賃上げを要請したのは、彼がリフレの意味を理解していないことを示している。安倍氏のブレーンである浜田宏一氏も次のように述べている。 よく「名目賃金が上がらないとダメ」と言われますが、名目賃金はむしろ上がらないほうがいい。名目賃金が上がると企業収益が増えず、雇用が増えなくなるからです。それだとインフレ政策の意味がなくなっ

    「賃上げ要請」でスタグフレーションが起こる
  • ミクロとマクロのギャップ: リフレ派の誤りはどこにあるか (増補版)

    リフレ派がミクロ的な基礎付けを欠いて、ただマネーを増やせば、インフレになるという議論は誤りだという池田信夫氏の指摘は正しいが、より深い問題が、この点には存在する。 そこを探ってみよう。 ケインズが一般理論において強く主張した一つの論点は、有効需要を生み出す財政政策であるが、それは単なる需要を追加することでは無い。需給ギャップを埋めるための需要などでは無く、悪い均衡から良い均衡へ移行するためのショック療法のための需要なのだ。(これは池尾氏もアゴラで指摘している)がのであり、いわゆる合成の誤謬である。 ニューケインジアンもいろんな形で合成の誤謬の発生プロセスをモデル化しているが、現状に上手く当てはまる合成の誤謬のモデルは存在しない。 現在の日経済における合成の誤謬とは何であろうか。 麻生大臣によれば、経済や市場は「気」なんだな、と言うことなのだが、これも広く捉えれば、合成の誤謬で縮小均衡に陥

    ミクロとマクロのギャップ: リフレ派の誤りはどこにあるか (増補版)
  • 小泉の時代:マクロ経済の難問 --- ノア・スミス(Noah Smith)

    ポール・クルーグマンは、2000年~2007年という言わば「小泉純一郎の時代」における日の経済成長は、世間が考えているよりもよっぽど強固なものであり、実際には米国の成長をも凌いでいた点を的確に指摘している。 以下の表は、日と米国の国民一人当たりのGDP(トータル・エコノミー・データベースより引用)の比率と、日と米国の15~64歳の成人のGDPの比率を比較したものである。 そこに示されるのは、一度も回復しない大きな景気後退ではなく、大いに回復する小さな景気後退である。米国レベルに収束をし続けた日は、もっと頑張るべきだったと考えられるだろう。ただし、人口統計学を考慮しない場合に見えてくる表面上の惨憺たる失敗は、どうにも明らかではない。 その通りである。日が失ったのは20年ではなく、10年だ。 さて、ここが難問だ。日の2000~2007年までの成長を加速化させた要因は何か? この期間

    小泉の時代:マクロ経済の難問 --- ノア・スミス(Noah Smith)
  • 為替レートと相対価格

    1ドル=75円とかいった名目の為替レートだけを見て、史上最高の円高だとかいって騒ぐもの問題だと思うが、他方で、実質実効為替レートが絶対的な基準だと思い込むのも危険である。日銀レビューの「実質実効為替レートについて」は、そうした点に関する留意点を指摘していて有益である。とくに、そこでも指摘されているように、実質化する際にどのような物価指数を用いているかに留意すべきである(稿では、実質の話だけして、実効の方についてはふれない)。 相対価格(財・サービスの価格の相対比)に変化がみられないならば、どのような物価指数を使おうが同じことになるけれども、実際には相対価格の大幅な変化が生じている。したがって、物価指数の選択は実質為替レートの値に少なくない影響を与えることになる。こうした中で、実質為替レートを計算する際には消費者物価指数が用いられることが一般的である。 消費者物価指数でみると、例えば、20

    為替レートと相対価格
  • インフレはなぜ望ましいのか

    ノア・スミスの記事にひとことコメント。基的に意見の相違はあまりないと思うが、リフレの肯定的な面にもふれておこう。 経済学者には常識だが世間の人があまり知らない話として、労働者はインフレで貧しくなるという事実がある。藤井聡氏などは「デフレで所得が減る」と錯覚しているが、これは逆だ。給料が同じならデフレで実質賃金は上がるのだ。逆にインフレになると実質賃金は下がるが、これによって企業収益は上がる。 要するにインフレによって労働者から企業への所得移転が起こるのだ。名目賃金を下げる労使交渉はきわめて困難だが、「インフレ税」がかかれば労働者の知らないうちに賃下げを実現できる。これが自然失業率の理論で明らかにされたインフレの最大のメリットである。 これは新興国との競争で日の製造業が苦しんでいることを考えると、かなり重要だ。中国の単位労働コストは日の半分といわれるので、インフレと円安で日の実質賃金

    インフレはなぜ望ましいのか
  • 今こそ学生は大企業を目指すべきだ

    12月から就職活動が事実上始まり、ナビサイトなども解禁されて慌ただしく学生は動き始めたようです。意識が高いと言われている学生はもっと早くから、早い人は大学一回生の頃から準備を始めている人もいるようです。 就職活動が始まってからというもの、有名人やキャリアコンサルタントなどが学生に就職活動のアドバイスをしています。中には「大企業は危ないからやめておけ」というものもあり、大企業よりも中小企業に入れというアドバイスをしている人たちもいます。 しかし学生は今こそ大企業を目指すべきだと私は思います。 どうも大企業よりも中小企業を勧める人たちには、中小企業への幻想があるような気がします。「なんでもやりたいことが出来る」「いろいろなことを任せてもらえる」「すぐに現場に出てスキルをつけられる」などと思っているんではないでしょうか。 全て間違いとは言いませんが、私が働いていた中小企業や知る限りの中小企業には

    今こそ学生は大企業を目指すべきだ
    yasu123h
    yasu123h 2012/12/12
  • 景気対策はするべきではない : アゴラ - ライブドアブログ

    経済・金融 景気対策はするべきではない / 記事一覧 選挙が近づいて各党は金融緩和によるデフレ脱却、成長戦略といった、経済政策による景気回復を主張している。自民党は金融緩和と10年で200兆円にも及ぶ公共事業、公明党も10年で100兆円の公共事業といった具合である。 有権者の中にも、政府による景気対策を期待する声は大きいだろう。 しかし、政府による経済政策とは、一体何なのか、と考えると、これは、景気調節機能であって、成長の原動力ではない。 成長の原動力は、各個人、企業の努力である。 従って、政府の経済政策が有効であるためには、その前提として、経済が自然水準(来の実力)未満の状態であることが前提となる。 自然水準の検証 このことは既に実験済みである。例えば、家電エコポイントや、エコカー補助金といった需要創出は、結局、需要の先いをしただけに終り、対策の終了と同時に、反動として大きな

    yasu123h
    yasu123h 2012/11/23
  • 世界観を変える21世紀の古典 - 『ファスト&スロー』

    書は行動経済学をデカルト以来の「意識中心主義」を否定する知的な革命として位置づけるもので、原著が出て1年あまりで21世紀の古典としての地位を確立した。ナシーム・タレブが「『国富論』や『夢判断』と並ぶ社会思想のランドマーク」と絶賛しているように、すべての人の世界観を変えるインパクトがある。 といっても書は専門書ではなく、「オフィスでの井戸端会議」のネタが豊富に例示されている。「人間が意識的に行動している」という新古典派経済学は神話だが、その原因は脳がきわめて非効率的にできているためだ。脳の重さは体重の2%程度だが、基礎代謝の20%も消費する。このため、なるべく直感的なシステム1で情報を処理し、意識的なシステム2の負荷を小さくしようとする。これが拙著『イノベーションとは何か』でも紹介した、彼の2段階モデルである。 このモデル自体は著者の独創とはいえず、システム1はフロイトが「無意識」と呼び

    世界観を変える21世紀の古典 - 『ファスト&スロー』
    yasu123h
    yasu123h 2012/11/23
  • ハイパーインフレは起きない 質問への回答

    前回の記事に対して、ワシントンのあるエコノミストから質問を頂いた。 ここで、それに対する回答を公開することで、多くの人々の疑問に答え、それにより、何が起こると考えられるか、わかりやすく解説したい。 小幡様 量的緩和は景気を悪化させる、という話は良く理解できました。 他方で、ハイパーインフレは起きないという点は、いまだに理解が及びません(ハイパーインフレが起きる、という説明も同様に納得できないので、結局、どうなるのか分からないというのが正直なところ)。 以下が疑問点です。 というメールを頂いた。これに回答することにより、何が起こるかについて、説明したいと思う。 (1)日銀引受で国債発行した場合、市中消化量は変化しないのだから、「それだけで」国債価格が下落することはないのでは? 回答:そうなったら、民間保有者が売りに回ります。売りのサインになり、投機的な売りも入って仕掛けとなります。かなり下が

    ハイパーインフレは起きない 質問への回答
    yasu123h
    yasu123h 2012/11/21
  • 「いい人」が日本をだめにする

    アゴラにも転載された城さんの記事についてひとこと。慶応の清家塾長には、私が昔NHKにいたとき何度も番組に出てもらった。経済番組のキャスターに起用されたこともある。「空気」を読んで局側のいいたいことを言ってくれるからだ。 清家氏はとても人当たりの柔らかい人で、労働経済学者には珍しく終身雇用を擁護するのが印象的だった。その持論は今も変わっていないようだ。こういう温情主義は民主党政権にも受けるので、あちこちの役所の審議会に引っ張りだこらしい。今の彼の仕事ぶりは知らないが、実務は事務局にまかせて自分は政府や業界の「外交」だけをやっているのだろう。こういう調整型の「いい人」が企業でも出世する。 このようにトップが実質的な意思決定を行なわない構造を、丸山眞男は「まつりごと」と呼んだ。最高権威をもつ天皇は権力をもたず、その下の摂政・関白などの「令外の官」が実務を行なうが、その権限もさらに家司などの官僚に

    「いい人」が日本をだめにする
    yasu123h
    yasu123h 2012/11/04
  • 古い企業システムの生み出す学歴のインフレ - 『学歴の耐えられない軽さ』

    ★★★☆☆(評者)池田信夫 学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識 著者:海老原 嗣生 販売元:朝日新聞出版 発売日:2009-12-18 クチコミを見る 大学の危機が叫ばれて久しい。書も指摘するように私立大学の半分以上が定員割れで、教育の成り立たない大学が増えている。偏差値の高い大学でも、早稲田大学の政治経済学部の入学者のうち、一般入試は40%しかいない。大学の偏差値ランキングを落とさないために一般入試を絞り、推薦入学などで水増ししているためだ。結果的に偏差値は高いが学生の質は落ち、学歴のインフレが進行している。 企業の人事担当者もこうした実態を知っているので、大学の偏差値を信用しなくなった。特に偏差値の低い大学の扱いは専門学校以下で、大学を卒業してから(大学院ではなく)専門学校へ行く学生が増えている。講義の内容も専門学校化し、特定の資格を取るための学科が増

    古い企業システムの生み出す学歴のインフレ - 『学歴の耐えられない軽さ』
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    yasu123h 2012/09/22
  • 本当のケインズは、・・・

    高橋伸彰 『ケインズはこう言った-迷走日を古典で斬る』 NHK出版新書、2012年8月刊 ★★☆☆☆ ヒックス以降の定式化に基づいて教科書化された理論とケインズの原像は、明らかに異なる。それゆえ、折にふれて「当のケインズは、・・・」という議論がされることになる。ケインズの原典を何も読んだことがなく、経済学の教科書でしか「ケインズ経済学」を勉強したことがない人が、ケインズ経済学を語ったり、批判したりするのを見聞すると、ケインズが好みで、真面目に『一般理論』も読んだ人は大いに不満に感じることになる。それで、「それは違う。当にケインズが主張していたことは、・・・」という話になるわけである。 そうした議論を最初に格的に展開したのは、A・レーヨンフーヴッド(Axel Leijonhufvud)の『ケインジアンの経済学とケインズの経済学』である(因みにレーヨンフーヴッドに関する私の個人的お薦め

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    yasu123h
    yasu123h 2012/08/12
    付記
  • 財政出動に関する普通の話 2

    Keynesのメインの主張は、縮小均衡、あるいは不均衡が持続することがあり、それを打破することが重要である。失業は何より経済の一番の損失だ。だから、雇用を回復するために、その不均衡、縮小均衡をうごかし、そこからテクオフするために、何らかの外部の力が必要だ。ということだ。 そして、彼は、その外部の力として、政府の財政出動を提案した。それが第三のポイントだ。 だから、Keynesの財政出動の意は前のエントリーの1の意味での財政出動にある。 この財政出動は、起爆剤としてのものだから、起爆させるには、大きなショックが必要である。 ショックにより何が変わるかというと、人々の将来に対する期待が変わるのである。 将来経済への期待が、プラス、経済は少なくとも今より良くなる、この泥沼のような、あるいはスパイラルのような下落の継続はもう止まる、ということを確信させることが重要なのであり、それは期待、予測の変

    財政出動に関する普通の話 2
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    yasu123h 2012/08/08
  • 財政出動に関する普通の話 3

    池尾先生が、よりすぐれた解説をしてくださっているので、そちらを参照されると、これまでの普通の議論は、すっきりわかるだろう。 *** Keynesの財政出動の質は、1の起爆剤としての効果にあると述べてきた。 池尾解説の言葉を使えば、悪い均衡から良い均衡に移るための効果である。 さて、ここから、もう少し、さらに普通の話を続けよう。 しかし、現代においては、2-1の方、つまり、起爆剤ではなく、摩擦緩和の効果が重要である。 2-1 需要の補填だが、経済が構造変化に直面し、その際の失業などの摩擦問題を緩和するための需要補填 (先のエントリーより再掲) Keynesが現代に生きていれば、別の形の財政政策を提言したかもしれない。 起爆剤としての財政出動を政策提言することの意義がなくなったのは、1つには、縮小均衡という危機はあまり起きていなかったからだ。 しかし、その例外が起きた。リーマンショックだった

    財政出動に関する普通の話 3
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    yasu123h 2012/08/08
  • 複数均衡と財政政策(解説)

    小幡績くんが財政出動の話をしている(その1、その2)が、そのポイントはきわめて基礎的で、当に普通の話である。それゆえ、多くの人に正しく理解しておいてほしいことなので、もう少し普通に(やや教科書的に)解説しておきたい。私自身の授業でも取り上げており、昨年度にこの話をしたときの講義レジュメの該当箇所を引用すると、次の通りである。 需要不足は、積極的財政政策によって解消することができるのか。 (中略) 単一均衡か複数均衡か:均衡状態が唯一である場合には、その状態を改善するためには、均衡を規定している構造パラメータ(いわば体質)を変えるしかない。例えば、構造的な需要不足を財政支出の拡大で支えても、財政支出の拡大を止めれば、元に戻ってしまう。しかし、永久に財政赤字を続けるわけにはいかない。 他方、均衡状態が複数あり得るときには、構造パラメータが変わらなくても、政府が政策的にショックを加えることで、

    複数均衡と財政政策(解説)
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    yasu123h 2012/08/08
  • Keynesを理解していないKrugman 第二章 depression economics

    Krugmanは当にKeynesを読んでいるのだろうか。 読んでいて、こんなことを書いているのであれば、実は頭が悪いということになるが、さすがに1990年までの実績から言って、そうではないと思われる。 したがって、読んでいないか、分かっていてあえて間違ったことを言っていることになるが、後者だとすると余りに罪深いだけでなく、すぐに批判されて議論に負けてしまうが、いいのだろうか。 不思議だ。 Depression Economicsと大げさに言っているが、言っていることは2つ。 誰かが消費すれば、それは誰かの所得になるから、経済全体は所得が増える。だから失業は減る。 そんな簡単なことをあえてやらないのは、あほだ。 ということが1つ。 もう1つは、liquidity trapという節も設けているが、マネーをプリントすれば上手くいく。それはベビーシッタークーポンの例から明らか。ただ、FEDが愚か

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    yasu123h 2012/08/06
  • 日本の半導体産業は何処へ?

    DRAMメーカーとして世界第3位だったエルピーダメモリの破綻から時を措かずして、今度はマイコンやシステムLSIのメーカーとして世界第5位のルネサスエレクトロニクスの苦境と大規模なリストラ計画の報道がなされた。一方では、システムLSI大手の富士通が三重工場の売却を米国のGlobal Foundryや台湾のTSMCと交渉しているらしいとのニュースも入ってくる。一体これから日の半導体産業はどこへ行こうとしているのか、全く先が見えない状況だ。 かつて半導体は日のお家芸と見られており、一般の製造業が発展途上国に追い上げられても、このような先進分野にシフトしていく事で、日の産業経済は世界の中で強い競争力を維持して行けると見られていた。現実に、1988年の時点では、世界の半導体市場の中で日メーカーのシェアは50%を超えていた。それが現在は全く様変わり。元気の良いニュースは概ね米国、韓国台湾(中

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    yasu123h 2012/07/30
  • 官僚は政治家である - 『財務省』

    財務省 (新潮新書) 著者:榊原 英資 販売元:新潮社 (2012-06-15) ★★★☆☆ 消費税の増税をめぐって、「財務省のマインドコントロール」だといった陰謀論がにぎやかだ。もちろん財務省が予算編成権をもつ「最強の官庁」であることは間違いないが、彼らはそれを超えて財務省が陰謀をめぐらし、政治家を操作していると主張する。そんなに自由に政治をあやつれるなら、大宝律令以来の「大蔵省」という名称を剥奪され、たった5%の増税に15年もかかったのはどういうわけだろうか。 著者は著名な元財務官だが、財務官僚が「悪役」にされるのは昔からで、それはしかたないという。予算編成は政治のコアであり、それを行なう財務官僚は「政治家」である。さらにいえば、日の法律の80%以上は内閣提出法案なのだから、三権分立などというのは建て前にすぎない。日の官僚は西洋的な「公僕」ではなく、立法から司法まで行なう政治家なの

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    yasu123h
    yasu123h 2012/07/30
  • あなたの生命保険は大丈夫? -超長期国債依存が進む生命保険会社-

    池田信夫先生の記事で“逃げ遅れた地方銀行”とあるが生命保険会社も同様だろう。生命保険会社の国債依存は異常に思える。2011年3月末時点のかんぽ生命、日生命、第一生命、明治安田生命、住友生命の国債保有残高などをまとめてみた。 各生保の国債保有残高は、かんぽ生命64.1兆円、日生命13.4兆円、第一生命11.1兆円、明治安田生命10.0兆円、住友生命7.3兆円となっている。かんぽ生命は総資産96.8兆円のうち、66.2%が国債に成り代わっており、他の4社も総資産のうち、25%~40%程度が国債に成り代わっている。 国債価格が下落(=金利が上昇)すれば、当然金融機関は損失が発生する。実際に決算毎に損失計上をする必要があるかどうかは、国債の保有区分にもよるため(満期保有目的債券、責任準備金対応債券(保険会社だけに認められた区分)であれば時価評価不要)、「国債価格の下落=即座に損失表面化」とはな

    あなたの生命保険は大丈夫? -超長期国債依存が進む生命保険会社-
    yasu123h
    yasu123h 2012/07/17