いま与党内(自民党と公明党の間)で、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率の導入を巡る議論が紛糾している。公明党は、与党が12月中旬に決定する予定の2014年度税制改正大綱において「消費税率を10%に引き上げる段階で軽減税率を導入することを明記する」ことを要求している。これに慎重な自民党との間の攻防である。 軽減税率の導入を要求する主な目的は、消費税が持つと言われる「逆進性」(=所得の低い人ほど税の負担率が高くなる性質)を緩和することにある。しかし、軽減税率を導入してもこの目的を達成することはできない。むしろ、将来の財政再建や世代間格差の是正に禍根を残す結果に終わる可能性が高い。その理由を今回のコラムで説明しておきたい。 まず、軽減税率の導入は、低所得者の負担軽減対策としては有効性が低いという事実を確認しておこう。この事実は以下の図表1から明らかである。この図表は、全国消費実態調査のデー