このタイトルに聞き覚えがあったのは米原万里が「打ちのめされるようなすごい本」の中で取り上げていたからだ。直接的な動機は原題が同じの「子供の情景」を見たからだが、米原万里の書評を読んでさらに読む気になった。 映画「カンダハール」の監督で作家でもあるイラン人のモフセン・マフマルバフは隣国アフガニスタンの苦境に耐えきれず、このレポートを書いた。タイトルの意味ははっきりしている。タリバンによって仏像が破壊された時、世界中の多くの人々がそのニュースに注目したが、5分に1人の割合で死んでいくアフガニスタン国民にはほとんど誰も目を向けなかったことに異議を申し立てているのだ。重要なのは仏像ではない、人間の命だという当たり前すぎる主張である。 なぜ目を向けないのか。それは世界の人々がアフガンのことを知らないからだ。マフマルバフはアフガンがどんな国かを詳細に説明する。国土の75%が山岳地帯で、農業開発に適した
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