自民、公明両党は、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」を巡る与党協議で、要件緩和にかじを切った。輸出拡大によって防衛産業を支援したい自民党側の要求を、公明党が条件付きで容認した形。英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機など、殺傷能力のある武器の輸出解禁が現実味を帯び始めている。(川田篤志、市川千晴)
自民、公明両党は、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」を巡る与党協議で、要件緩和にかじを切った。輸出拡大によって防衛産業を支援したい自民党側の要求を、公明党が条件付きで容認した形。英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機など、殺傷能力のある武器の輸出解禁が現実味を帯び始めている。(川田篤志、市川千晴)
入管難民法改正案を審議している参院法務委員会で16日、日本維新の会の梅村みずほ氏が2021年に名古屋出入国在留管理局で死亡したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)について「ハンガーストライキによる体調悪化によって亡くなったのかもしれない」と述べた。根拠の乏しい発言をする梅村氏に遺族支援者から反発が強まっている。
日本学術会議法の改定案が今国会にも提案される。人選の方法を改めようとする現首相の岸田文雄氏、一つ前の菅義偉氏は学術会議のあり方を疑問視し、時に「目の敵」にしたようにも見える。背景は一体、何なのか。そんな問題意識から取材を進めると、「お家芸」のように古くから学術会議を痛烈に批判した組織が浮かび上がった。この「接点」をどう考えるべきか。(木原育子、中山岳)
退任する日銀の黒田東彦総裁が主導した大規模金融緩和の10年間で、大きく下がったのが円の価値だ。昨年後半には金融引き締めを急ぐ米国との政策の違いを背景に、1ドル=150円台の歴史的な円安が進行。輸入物価の上昇に拍車をかけ、「悪い円安」論が高まった。新体制となる日銀は緩和を当面続ける方針だが、経済の成長力強化につながらなかった円安政策は曲がり角を迎えている。 昨年3月まで110円だったマクドナルドのハンバーガーが3度の値上げを経て今年1月以降は170円に。かつて「デフレの象徴」とも言われたハンバーガーが度重なる値上げを迫られているのは、牛肉や小麦など原材料費の高騰に加え、海外からの仕入れに響く円安が要因だ。 日本に初出店した1971年は80円だった同社のハンバーガーは、2002年には過去最安の59円まで価格が低下。しかし、今やその3倍近い金額となっている。それでも同社担当者は「まだかなりの円安
ロシアによるウクライナ侵攻の停戦を訴え、記者会見する伊勢崎賢治さん(右)ら=東京・永田町の衆院第1議員会館で ロシアのウクライナ侵攻による戦禍を止めようと、東京外国語大の伊勢崎賢治名誉教授や岩波書店の岡本厚・元社長ら学者、ジャーナリストらのグループが5日、東京・永田町の衆院第1議員会館で記者会見し、日本を含めた先進7カ国(G7)に「今こそ停戦を」と訴える声明を発表した。 声明は現在の戦闘について「北大西洋条約機構(NATO)諸国が供与した兵器が戦場の趨勢(すうせい)を左右するにいたり、代理戦争の様相を呈している」と指摘。武器の援助をやめ、ロシアとウクライナの交渉の場をつくるよう、G7に求めている。賛同人にはジャーナリスト田原総一朗さんや東京大の上野千鶴子名誉教授、法政大の田中優子前総長ら30人余が名を連ねた。 伊勢崎さんは「停戦は悲劇的な終戦を回避するための政治工作、公平な和平のための、現
クーデターを主導したミャンマー国軍のミンアウンフライン総司令官から、麻生太郎元首相と日本ミャンマー協会長の渡辺秀央元郵政相が名誉称号と勲章を贈られた。有権者に選ばれた政権を武力で転覆させ、抗議する市民を多数殺害している人物からの表彰を受け入れるとは、常識的感覚からして信じ難い。苦境にあるミャンマー市民に理解される振る舞いだろうか。(北川成史、大杉はるか) ミャンマーの国営紙によると、ミンアウンフライン氏は20日、麻生氏と渡辺氏に名誉称号と勲章を贈った。首都ネピドーでの授与式に出席した渡辺氏に「両国と両国民、両国の軍隊が友好関係と協力を強化することができた」と謝意を表明。渡辺氏は「生涯、ミャンマーの発展と国軍の地位のために努力する」と約束した。麻生氏は欠席したが、渡辺氏を通して謝意を伝えたという。
平和主義をうたう憲法を横目に、再び戦争への道を歩むのか。国会での議論もなく、増税による防衛力強化や敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に道筋を付けた16日の閣議決定。反戦を訴える人や識者からは、懸念の声が相次いだ。
東京電力福島第一原発事故の後始末について重要な動きが出た。除染土再利用の実証事業を福島県外で初めて行う計画だ。県内で中間貯蔵する除染土を再利用で減らすというのが環境省の言い分で、16日に埼玉県所沢市内、21日に東京都新宿区内の事業について説明会が予定され、他地域でも実証事業が取り沙汰される。これらの地域で再利用が浮上したのはなぜか。汚染拡散につながる再利用を安易に進めていいのか。(特別報道部・岸本拓也、中山岳)
自衛隊と米軍が今月、3万6000人を投入して実施した大規模共同演習「キーン・ソード23」。精密誘導弾などの実弾射撃を行い、長射程化で敵基地攻撃能力への転用を念頭に置く「12式地対艦ミサイル」発射準備の手順も確認した。見据えるのは、台湾侵攻も辞さずに軍拡に突き進む中国だ。 「日米の戦力を向上させ、よりダイナミックな能力と可能性を追求し続けることが日米同盟に貢献する」。海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)から自衛隊機で1時間半ほど飛行した先の太平洋上を進む海自最大の護衛艦「いずも」の艦内。在日米軍トップのラップ司令官は、自衛隊の山崎幸二統合幕僚長と並んだ記者会見で力説した。 ラップ氏の言う「ダイナミックな能力と可能性」が指すのは、ステルス戦闘機F35Bが離着陸できるよう事実上の空母化への改修が進むいずもの評価。だが、言外には日本の敵基地攻撃能力保有への期待もにじむ。いずもからF35Bが発進
ロシア軍が今月11日まで占領していたウクライナ南部ヘルソン州で、戦死したロシア兵らを焼却していた疑いが浮上している。英紙ガーディアンが21日に報じた。米政府系団体はウクライナ市民ら220人以上が行方不明になっていると指摘。ウクライナがヘルソン州西部を奪還して10日が経過し、戦争犯罪の実態が徐々に明らかになっている。 ガーディアンが伝えた複数の地元住民の証言によると、ウクライナ軍の反転攻勢が激しくなった今夏以降、ロシア軍は死亡した自軍兵士を袋詰めにしてトラックでごみ処分場に搬送し、遺体を燃やしたという。焼却の時間帯は立ち入りが禁じられ、知らずに入場した住民は殴打された。遺体を燃やす臭いは近隣の住宅地に広がっていたとされる。 ウクライナ保安当局は、ロシア社会の動揺を防ぐため遺体焼却によって人的損失の証拠を隠滅しようとした疑いがあると指摘。ロシアのショイグ国防相は9月21日、5937人の死者が出
東京都府中市浅間町の「米軍府中基地跡地」で、長らく未返還だった在日米軍の通信施設が昨秋、返還された。施設は跡地の中で未利用となっている一四・九ヘクタール内にあり、全面返還に伴い市が利用計画の見直しを検討し始めた。未利用地は京王線府中駅の北東一・六キロにあり、広さは東京ドーム三・二個分。「この広さで利用目的が決まっていない公用地は都内にあまりない」(市担当者)という土地の活用が前進する。(宮本隆康) 市などによると、米軍は終戦後、旧陸軍燃料廠(しょう)を接収して府中基地として利用していた。在日米軍司令部などの機能が横田基地(福生市など)に集約されると、一九七五(昭和五十)年に府中基地約六十ヘクタールのほとんどが返還された。跡地には都立府中の森公園や市美術館などが整備されたが、「将来の需要に備える」(国の審議会)として利用が留保されたのが一四・九ヘクタールの未利用地。米軍通信施設はその留保地に
ウクライナ侵攻を続けるロシアが、東部ドンバス地域(ドネツク、ルガンスク両州)で占拠した地域のインフラなどの「再建」に、北朝鮮労働者を活用する方針が明らかになった。国連安保理の制裁下にある北朝鮮と、欧米との対立を深めるロシアの思惑が一致した格好。領土の占領、荒廃に苦しむウクライナや、欧米諸国の強い反発を招くのは必至だ。(ヨーロッパ総局、ソウル・木下大資) ロシアのフスヌリン副首相によると、既に北朝鮮に対して労働者派遣を要請済みという。「北朝鮮人は勤勉で生産性が高い」とタス通信などに説明し、早期の労働者受け入れに期待した。2017年に採択された国連安保理の対北制裁決議で各国の北労働者受け入れは制限されているが、ドンバスの親ロ派自称共和国は「国連に加盟していないため問題ない」(ロシア外務省)との立場だ。 韓国の統一研究院の趙漢凡(チョハンボム)研究委員は「ロシアはドンバス再建に提供できる人員の余
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