それは、剣と魔法とSFが占めていたゲームブック業界に、突如放り込まれた「音楽」だった。 まずは顔ぶれの話から始めよう。 私は創元っ子であり、創元推理文庫のゲームブックに一番親しんでいたので、創元のお話を中心にさせて頂くのだが。1987年という時代は、ゲームブック業界、あるいは創元推理文庫の「スーパー・アドベンチャー・ゲーム」において、「王道」が出そろった「次」の時代だった、と言えるかも知れない。 1985年から1986年に発売された創元ゲームブックというのは、例えば言わずと知れた「ソーサリー!」が1985年、ナムコの「ゼビウス」も1985年、「悪魔に魅せられし者」に始まるドルアーガ三部作が1986年、「ネバーランドのリンゴ」も1986年。 「吸血鬼の洞窟」や「シャドー砦の魔王」などに代表されるゴールデン・ドラゴン・ファンタジイシリーズも1986年。「巨大コンピューターの謎」に始まるデュマレ