1896年の帝政ロシア。ニコライ2世の戴冠を期し、日本に想を得たバレエ「ダイタ」が上演された。「東京島」を舞台に、身分違いの恋を「観音」が救う物語。曲中には、ロシア海軍音楽隊の隊長が寄港先の長崎や神戸で採取したらしい俗謡の旋律が、ちりばめられていたという。 この大曲の一部が来月、ピアノ演奏ながら日本で初披露されることになった。実に120年ぶりの「里帰り」だ。演奏会の監修を務めるロシアバレエ史研究者、斎藤慶子は「本場のバレエを受容する一方でなく、日本からも刺激を与えていた。文化交流の豊かな響きを聴き取っていただければ」と話している。