3月11日は、振付師マリウス・プティパの生誕200年である。彼の降り付けた作品は、今日も世界中で上演されている。 マリウス・プティパの名は、世界でもっとも人気の高いバレエ――『白鳥の湖』、『眠れる森の美女』、『バヤデルカ』、『ジゼル』、『ドン・キホーテ』、『くるみ割り人形』のポスターに載っている。彼の肖像も容易に見つけることができる、きっちりと撫でつけた白髪交じりの髭を持ち、柔らかにほほ笑む老人だ。だが、プティパ生誕200年にもなるのに、私たちが自信を持って知っていることといえば、ロシアのクラシックバレエという芸術現象を作り出したこの人物について、私たちがほとんど何も知らないということだけだ。 伝説の独り歩き 自分の人生を伝説にするということを、プティパはみずからやってのけた。フランスはマルセイユの演劇一家に生まれた彼は、成功への天性の嗅覚と冒険心を持っていた。それなくして、この芸術的キャ