2018年5月、東京大学生活消費協同組合(東大生協)が、本郷キャンパスの中央食堂に飾っていた著名な画家の絵画を廃棄していたことを認め、謝罪した。美術品の保存やその価値の共有の大切さを改めて示したこの一件。その作品の保存や、価値の共有に大きな役割を果たすのが美術館だ。現代美術史を専門とする加治屋健司准教授(総合文化研究科)と、東大出身で現在表参道のアートギャラリー「スパイラル」で展示会の企画などを行うキュレーター・加藤育子さんに、美術館の重要性や現状、課題について話を聞いた。(取材・児玉祐基) 予算と人手増やし環境充実を 加治屋 健司(かじや・けんじ)准教授(総合文化研究科) 2014年、ニューヨーク大学大学院美術研究所博士課程修了。Ph.D.(美術史)。京都市立芸術大学准教授などを経て、2016年より現職。 ──美術館の存在意義とは 美術館は社会教育、つまり学校や家庭以外、広く社会で行われ