前編では、つねに有用性や生産性を求められる社会への気持ち悪さを語った、政治学者でアナキストの栗原康氏。後編では、その論理があらゆる場所に貫徹している現状、そしてそこから抜け出すための方法を考える。 アートで町おこしへの違和感 前編でもお話した通り、私たちの社会は、「有用性がないもの」をどんどん排除する社会になっています。 それは「地方創生」、町おこしの現場でも起こっています。アートの力で町を再生しようという試みがブームになっていますが、そのアートは、猥雑なものを排除したり、覆い隠したりしている。 例えば、東京の山谷や大阪の釜ヶ崎といった寄せ場にいる、野宿者や日雇いの「おっさん」たちは本当に猥雑です。まえに山谷夏祭りというのに行ったことがあるのですが、みんなほんとうにクソみたいな酒を呑むんですよ。バケツにやっすい焼酎をドバドバ入れて、烏龍茶をテキトーに注いで、あ、これ2杯飲んだら死ぬな、と思