会田誠『巨大フジ隊員VS キングギドラ』(1993)高橋コレクション蔵 ■欲望の過剰 前回の記事で会田誠作品の特徴を示しましたが、予告通り今回は会田氏の残酷描写やスプラッター表現、猟奇性にフォーカスして、その実相に迫りたいと思います。 会田氏が自ら公言している通り、氏の猟奇作品は月岡芳年や絵師金蔵の系譜を引き継いだものです。 以前の記事『無惨絵 日本文化の裏地を染める鮮血』ギリシア悲劇との類似性でも言及しましたが、基本的に無惨絵はギリシア悲劇と同じく「生命の過剰」が引き起こしたものと考えられます。 さらに次の画像からも分かる通り、無惨絵の兇暴なエネルギーは、老若男女区別なく被害対象として巻き込む、盲目的で無差別的なものです。 ある意味では火山の噴火などと同じような、自然現象に近いエネルギーの充溢・炸裂と見なすことができるでしょう。 左:丸尾末廣『新英名二十八衆句:フリッツ・ハールマン』右: