オリジナル・コピー・シミュラークル 百瀬文展「なぞる人々」(新宿眼科画廊) 一枚の写真を前にしたわれわれは何を見ているのか。一つの視覚的イメージ(像)か、それとも現実の事象(事物やその状態)か。もちろんわれわれがまず目の前にしているのは、現実の事象の空間・時間から切り離され、縮小され、紙やモニター上に静止化・平面化された一つの画像-イメージである。しかし、写真を見るわれわれはすぐさまそのイメージを現実の事象に還元してしまう。これこそが透明なメディウムとしての写真の機能であり、ロラン・バルトが言う「被写体とイメージの密着」である。写真は一つのイメージであると同時に、現実から切り離された一つの事象でもあるわけだ。ここに写真を語ることの困難さがある。われわれが写真について語る場合、われわれはいったい事象について語っているのか、それともイメージ―写真そのものについて語っているのか。 映画の場合はど
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