「教科書、原則デジタル化を」はおかしい デジタル教科書は「ネット・バカ」を生み出すだけではないのか 塩原俊彦 高知大学准教授 2020年10月6日付の朝日新聞デジタルの「「教科書、原則デジタル化を」平井デジタル相らが要求」によると、平井卓也デジタル改革相と河野太郎行政改革相は6日、教科書の原則デジタル化や規制緩和など教育分野のデジタル対応を加速するよう文部科学省に求めたという。このニュースを知って痛切に感じるのは、教育をビジネス化しようとする人々のよからぬ下心である。 儲かる教科書 まず、小学校から大学まで、教科書は出版業界にとって少なくともこれまでは「打ち出の小槌」のような存在であったことを思い起こしてほしい。とくに、一般書籍の販売が頭打ちになっているなかで、紙でできたこれまでの教科書は「おいしい」商品だった。少子化で教科書出版業界も厳しさを増しているが、それでも教科書がビジネスそのもの