「中央工学校卒」にこだわった田中角栄 僕は田中角栄にインタビューしたことがある。ロッキード事件で逮捕されてから初めてマスコミに登場したときで、彼は、闇将軍と恐れられていた。その彼の話を聞いていて、すさまじいコンプレックスの塊だと、僕は思った。 彼は小学校卒業で総理大臣になって、豊臣秀吉の再来、今太閤といわれた男。ところが、「僕は小学校卒業じゃないよ。僕は中央工学校を卒業したんだ」と、こだわる。僕から見れば、中央工学校卒というより小学校卒のほうがはるかに彼にとって勲章だと思うけど、断固として中央工学校卒業を主張して譲らない。さらに、新潟県の西山という、片田舎に生まれて、家はあまり豊かではなかった、と説明すると、彼は断固訂正を求めた。 「西山は、君ね、片田舎じゃないよ。関越自動車道のインターチェンジがあるんだからね」と。自動車道もインターチェンジも、自分で造ったものなんだけどね。 そして、「貧