「正論は見栄や詭弁が混じっていてはだめだ。純度が高ければ高いほど威力を発揮する」 朝ドラことNHK連続テレビ小説『虎に翼』の第11週「女子と小人は養い難し?」での桂場(松山ケンイチ)のセリフが印象的だった。 桂場に言われて寅子(伊藤沙莉)は「自分の正論は純度が低い?」と考える。はたして寅子の純度は低いのか。寅子が家庭裁判所設立準備室に異動を命じられたとき、晴れて家庭裁判所ができたら裁判官にしてほしいと桂場に頼み込んだ。桂場は確約したわけではなかったが、のちに寅子はそう約束したと準備室室長・多岐川(滝藤賢一)に主張する。 良くいえば積極性がある。悪い言い方をすれば厚かましい。この点から考えると、裁判官になりたい大義が淡い寅子は純度が低いのではないかとも思える。だが、ここでは、寅子の純度はむしろ高すぎるほど高い、と考えてみたい。 例えば、寅子が、法学部の同期・ヒャンちゃんこと崔香淑(ハ・ヨンス