セキュリティ関連ニュースを追っていると、ウイルス対策ソフトのメーカーや、セキュリティ対策サービスを手掛ける企業の発表に接することがとても多い。当然ながらそうした発表には、サイバー攻撃の恐ろしさを強調しながら自社の名前を売り、自分たちの製品やサービスの宣伝につなげようとする意図が透けて見える。 そうしたセキュリティ企業の発表のために、サイバー攻撃の脅威に関する実態が歪(ゆが)められて伝わっているのではないか――。スイスとカナダの研究者が、そんな検証を行った結果を学術誌の「Journal of Information Technology & Politics」に発表している。 この論文は、スイス連邦工科大学とカナダ・トロント大学の3人の研究者が発表した。民間のセキュリティ企業の報告内容は多くの場合、国家が関与する非常に高度なサイバー攻撃や、政府機関・大手企業など注目度の高い被害者を狙った攻撃