「仮説」の第2回目。デジタル出版革命は、紙から電子への変化ではない。情報の存在と流通の形態に関わる根本的な変化であって、その本質は情報の流動化(サービス化)にある。デジタルにおける自由には必ず副作用が伴う。この歴史的流れに逆らうことはできないが、流されていては出版は情報の海に埋没し、成り立たなくなるだろう。読書人の権威や出版のコストが情報の品質保証にならない時代に、編集の専門性と社会性を再確立する必要があると思う。(写真=中国明代の百科事典、宋應星編著『天工開物』) いわゆる「電子書籍元年」を総括する前に、筆者が考えるデジタル出版革命についてまとめておきましょう。一言でいえば「フルデジタル」ということに尽きますが、これは コンテンツの製作・流通・消費のすべてがデジタルベースで行われる あらゆるメディア形態を吸収し、デジタルベースで処理可能にする という2つのことを意味します。近代から20世