いったい、どうやって写真を撮ったらいいんだろう。 温室に足を踏み入れた瞬間、途方にくれた。「オランダのトマト農場は、まるで規模が違います」「1年中、実がなり続けるんです」。そう聞いて、絶好の撮影場所と思い定めていた。だが、訪れたトマト農場は、中途半端な想像を超える規模だった。 農場巡りの日となった10月16日、最初に向かったのはオランダ北西部、アグリポート地区。政府の肝いりでできた、温室栽培の新産地だ。お目当ては、最大手のひとつとされる「ロイヤルプライド」である。 経営者のひとり、フランク・ファン・クレーフさんが自ら案内してくれた巨大温室は、真ん中を通路が貫き、その両側にトマトの畝(うね)が延々と連なっている。畝の長さはそれぞれ150メートル。さっそく、この奥行きを写しこもうと、カメラを構えた。だが、ファインダー越しにのぞいても、広がりと深さを同時に切り取りとることがなかなかできない。 こ