まだ6月も半ばだってのに一体全体なんなんだこの暑さは。こんなに暑くちゃ仕事も手に付かないってんだよ、この温暖化野郎め。風も吹かせないっていうのはどういう了見なんだ。いきなり手加減なしで夏本番か。梅雨は無視か。蒸し蒸しするから無視か(うまいねどうも)。 近畿地方の田舎町にある浄土真宗のとある寺。そこに当代随一の色男なお坊さんがいるそうだ。切れ長の目から発するその眼光たるやひとたび照射されればどんな貞淑な女だろうとも心惹かれてしまうらしい。加えてその坊主の声が魅惑のバリトンヴォイスときている。法事でそこの寺に参ってきた女。はるばる嫁に来たもののすぐに旦那を亡くし、若い身空で未亡人となったまだ少女の面影を残す女。町の男どもの好奇の視線に晒されながらも頑なに旦那を想い匂い立つようなその身体は固く閉ざしたまま。そんな女が親戚一同に混じって寺の本堂でお経を上げてもらっている。住職の他にお付が2人。片割