全世界に向けて「北日本連邦」の正式な独立宣言をおこなうはずのテレビ放送は予告していたとおりの時間に始められた。時刻は午後12時ちょうど。それはちょうど前日に電波ジャックによる独立宣言がおこなわれたのと同時刻だった。 最初に画面へと映し出されたのは宮城県にあった古ぼけた野球場である。これはあるプロ野球球団のホームグラウンドとして使用されていたものだったのだが、老朽化しひび割れたコンクリートや手入れのされていない芝(というか、雑草だらけの野原のような状態だ)からはかつて大勢の観客を楽しませていた輝かしい時代の面影は微塵も感じられなかった。しかし、カメラはその廃墟のような野球場を埋め尽くさんばかりに集まった人々の姿を映し出す。観客席にも、フィールドのなかにも人、人、人、人の群れ。彼らはこの演説のために東北7県、そして北海道からわざわざ集まっていた。圧倒するような黒山の人だかりに、放送を観ていた人