学術情報プラットフォームとしてのCiNii 1. はじめに 国立情報学研究所(以下、NII)が運営する論文情報ナビゲータCiNii(サイニィ)は、サービス開始から5年目を迎えた2009年4月に新しいシステムの導入を行った(図1)。 筆者が携わった今回のシステム導入では、学術情報プラットフォームとしてのCiNiiの立脚点を明確にし、それに沿ったCiNiiの再設計・開発を行った。本稿では、システム導入の概要について述べるとともに、その背景にある学術情報流通プラットフォームの考え方について概説する。 2. CiNiiの概要 CiNiiは学術論文を対象とした国内最大級の情報サービスである。NIIが電子化している約300万件の学協会誌・大学研究紀要だけでなく、国立国会図書館の雑誌記事索引、科学技術振興機構のJ-STAGE、Journal@rchive、ならびに各大学・研究機関で構築が進む機関リポ