おかげさまで、『なぜ世界は不況に陥ったのか』は、発売1週間で3刷になった。その録音のうち、お蔵入りになった「エピローグ」の部分をMP3ファイルにした:「アメリカの覇権」は終わるか 日本経済の積み残した宿題いろいろ書評も出てきたが、いちばん手強いのが磯崎さんの批判だ。テクニカルな話は省いて、大事な点だけ簡単にお答えしておく。ITバブルのときに、多くの人が頭がバブっていたのはそのとおりだと思うのですが、「問題が利益じゃなくて時価総額だ」というのは、特に間違っていたわけじゃなくて、現在でも通用する話かと思います。これは「効率的市場仮説」を信じる経済学者の意見で、よく批判を浴びるものだ。市場が未来の出来事を完全に織り込んでいれば、時価総額=企業価値と考えていいが、バブルのときは明らかにそうならなかった。もちろんPERやROEだけが正しい指標だというわけでもないが、時価総額というのは株式市場で決まる