「このままじゃ、ロケットを開発できる人材がいなくなる」。7月末の夜、三菱重工業の技術者が、焼酎を片手につぶやいた。日本の宇宙産業をけん引してきたこの会社でさえ、直面する厳しい現実に言い知れぬ不安を抱いている。 米国、ロシア、欧州。世界の宇宙産業は、この3勢力が圧倒的な強さを誇る。猛烈に追い上げるのが中国とインドの新興国だ。かつて宇宙先進国だったはずの日本は、宇宙産業という角度で見れば、ようやく市場参入を果たしたばかりのルーキーに過ぎない。ここまで世界との差を広げた張本人は、ほかならぬ日本政府になる。 貿易摩擦で人工衛星が犠牲に 最初の転機は1990年。日米通商摩擦で米国から市場開放を迫られた日本政府が差し出したのは、人工衛星だった。政府や企業が衛星を調達する際、研究開発用など一部を除き、国際入札が義務付けられた。海外から技術を取り込み、工夫して進化させ、ようやく世界へと打って出ようとした矢
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