今からお話することは、この夏に私が体験したお話です。 私は基本インドア派なのですが、夏ということもあり最近はサーフィンをするようになったんです。徐々についていく筋肉や黒くなっていく肌に、我ながら健やかさを感じたものです。 その日もサーフィンは満喫できたのですが、帰路の途中に雲行きが怪しくなってきました。天気予報を見逃したことを後悔しながら、私は自転車を漕ぐスピードを少しだけ速めます。しかし、その甲斐も空しく、家まであと半分くらいの距離まで到達した頃に、雨は降り出してしまいました。 「くそっ、徐行じゃなきゃ間に合ったかもしれないな」 雨は徐々に勢いを増し、着ていた服や荷物がびしょ濡れになるのも時間の問題でした。 「こりゃズブ濡れ覚悟で帰るしかないか」 諦めかけていたとき、建物が眼に映りました。公共施設でしょうか。そこに建物があるだなんて普段は気にも止めていませんでしたが、渡りの船とはこのこと