この社会は本当に多文化共生に向かっているのか? 紛争や民族・宗教の対立などから迫害を恐れ逃れてきた人たち、難民。日本では年間1万人以上が難民認定を申請しているが、認定率は1%未満という。保護されるどころか長期収容を強いられ、在留特別許可を求めて裁判を起こすケースも相次ぐ。あるクルド人家族の境遇から「難民に冷たい」といわれる日本の現状を探った。【井田純】 「罪を犯したわけじゃない。迫害を恐れて来日し、難民申請しただけなのに、なぜいじめられ続けなければならないのでしょうか」。東京都港区の東京出入国在留管理局。昨年1月から収容が続くトルコ出身のクルド人男性、チョラク・メメットさん(39)が面会室で訴えた。