近年注目を集める「分子ナノカーボン科学」 グラフェンやカーボンナノチューブなどのナノメートルサイズの周期性をもつ炭素物質は「ナノカーボン」と呼ばれ、軽量で高機能な次世代材料として期待されている物質です。構造によって電子的・機械的性質に大きな違いがあるため、望みの性質をもつナノカーボン構造のみを狙って精密に合成する方法が求められています。 そのなかで、ナノカーボンの部分構造をもつ分子を有機合成によって精密に合成する「分子ナノカーボン科学」が近年注目され、世界中で研究されています。これまでに、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブの部分構造となる分子(分子ナノカーボン)が多く合成されてきました。 代表的なナノカーボン3種類(上)およびそれらの部分構造をもつ分子(下) たとえば、カーボンナノチューブを輪切りにした構造の分子であるカーボンナノリングやカーボンナノベルトは、1930年代から理論
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