日本国憲法が施行されて三日で六十年。還暦を迎えた最高法規が今、大きな岐路に差し掛かっている。安倍晋三首相は憲法改正の手続きを定める国民投票法の早期成立を図り、次期参院選では改憲の是非を問うという。高まりつつある改憲機運をめぐり、私たちは何を考えるべきなのか。苦い戦争体験を経た“昭和の語り部”である半藤一利さんと、人間のありようを冷静なまなざしで見つめ続ける田口ランディさん。東京都内のホテルで二人の作家が語り合った。 半藤 僕の戦争体験から話しますと、終戦を迎えたのがちょうど十五歳。新潟県の長岡の中学校三年生でした。その前に東京大空襲で家を焼かれ、危うく死にかけた。人を助けようとして中川に落ちちゃって、川向こうの人の舟にひょいと助け上げられたんです。川岸では赤ん坊を抱いてうずくまっていた奥さん方が火をかぶり、あっという間に燃えるのが見えた。どうにもならない。 それから疎開して茨城県の下妻中学
三十年近く前、東京の区立夜間中学の社会科の授業を見学した時のことです。憲法の勉強の中で一三条の幸福追求権が問題になった。「いったい幸福って何のことなんだ?」と先生が質問する。あやふやな答えしか返ってこない。美容師の資格を取るために通っている二十歳の無口な女の子が最後に当てられてボソリと答えた。「お金だろ」。先生がうれしそうに「よし、一番いい答えだ。おまえは正直に思っていることを言ってくれた」。 さあ、これからどう授業を進めていくのだろうかと、ぼくはゾクゾクしたものです。「お金で買えるものなら、使えば無くなってしまう。しかし、幸福は品物のように無くなるものか」と続き、その面倒な問題を学ぶために学校があるんじゃないか、と授業は進んだものでした。 九条ばかりが焦点になっていますが、憲法をよく読めば条文一つ一つに歴史の積み重ねや教訓がある。ぼくらは歴史に学ぶということをしなくては。第二次大戦はなぜ
日本の侵略戦争を「自衛、アジア解放のための戦争」だったと肯定・美化するアニメーションDVDを教材にした教育事業が、文部科学省の研究委託事業「新教育システム開発プログラム」に採用され、全国で実行されようとしていることが十七日、明らかになりました。衆院教育再生特別委員会で日本共産党の石井郁子議員が取り上げたもの。 石井氏は「過去の戦争への反省とおわびを述べた一九九五年の『村山談話』に反するものだ。委託をただちに撤回し、上映活動をやめさせるべきだ」と追及しました。 問題の教材は、日本青年会議所が作製した「誇り」と題するDVD。青年会議所は、採用されたことを大宣伝し、全国の学校でDVDを使った教育事業を行おうとしています。すでに二月から六月にかけ、全国の学校など九十三カ所で実施または予定されています。 DVDは、戦死した青年が現代に現れ、女子高生を靖国神社に誘う内容。日本の侵略戦争を「大東亜戦争」
小池清彦・竹岡勝美・箕輪登 『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』 またしても憲法9条についてのビラまきをしている最中に、あるオヤジ、つうか老人につかまる。どうもぼくは老人受けのする顔らしい。 言語が少し不明瞭。大意はくみとれる。ボケているのかと最初思ったが、知識は驚くほど深い。決してボケてなどいない。 「集団的自衛権は国連でも認めているはずだ」 「湾岸戦争のときなぜ日本は兵をださなかったのか」 「自民党の改憲案では1項はそのままのはずだ」 いろいろ話す。いまの憲法をあんた方はなぜ守ろうとするのか、とか、憲法はどうやってできたと思うか、とか。 この老人は、アメリカの占領下でおしつけられた憲法だというお馴染みの議論を言いたかったのだった。相当の「ナショナリスト」である。なので、憲法を変えてアメリカの犬になって海外にいくなんていうのは、相当の売国奴ぶりですね、などと挑発するとものすごい大声
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く