松本市浅間温泉の神宮寺の高橋卓志住職(62)は、東日本大震災の発生直後から、福島第1原発から30キロ圏内の福島県南相馬市や、壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市で支援を続けている。遺体安置所で祈りをささげ、遺族の声に耳を傾けてきた。4月20日まで延べ20日間被災地で活動し、被災者への精神的ケアの大切さを実感している。 高橋住職は3月21〜27日、南相馬市の遺体安置所となった高校体育館を毎朝訪れた。27日朝、ある女性がほほ笑みながら、両親の遺体と対面していた。遺体は津波で流された自宅のがれき下で見つかり「家で死にたい」と言っていたおじいさんの望みがかなったからという。「ネガティブな状況ばかりの中、自分を納得させる何かを見つけようとしていた」という。 一人一人の生き方、死に方に物語があるはずなのに「それが全部消されたよう」に思えた。少ない日で70体、多い日は100体ほどが並ぶ。祭壇があり、ろう