自転車による交通事故が後を絶たない。この10年で交通事故の総数が約3割減少する中、歩行者をはねたり、自転車同士が衝突したりする事故は毎年5千件以上と横ばいが続き、総数に占める割合は高まる一方だ。頭部を強く打つなどして死者が出る事故も発生している。有効な対策が取られていない中で、被害者側は事故の衝撃と責任追及の難しさという、「二重の苦しみ」を味わっている現実がある。 「被告の供述によって、遺族は被害者の名誉のために独自の調査活動を行うなど、多大な労力を費やした」。6月、自転車で歩行者をはねて死亡させたとして、重過失致死罪に問われた男性会社員(44)の判決公判が横浜地裁であった。裁判官は、歩行者の女性が信号無視をしたかのような供述をした男性を指弾し、禁錮2年、執行猶予3年の有罪判決(確定)を言い渡した。 「ようやく姉の名誉が回復された」。量刑に不満は残るが、遺族で弟の中根忠明さん(64)は