ブックマーク / www.anlyznews.com (18)

  • ある社会学者の産婦人科医への罵倒に関して

    社会学者の橋迫瑞穂氏(@_keroko)が、妊娠初期では母親の仕事や運動などが原因で流産することはほとんどなく、妊娠10週未満の流産を防ぐ有効な対策はないので、出血などで病院にいってもその後の経過は変わらないと説明している産婦人科医氏(@syutoken_sanka)を、データの問題と個別の事例は別であり非論理的だと罵っていた*1。医学的にも統計解析の意味でも橋迫氏の方が…な主張に思える。 産婦人科医氏の主張は、氏の職務からして当然なのだが、常識的なものだ。国立成育医療研究センターの「出産に際して知っておきたいこと」を見ても、 妊娠12週未満の「早期流産」の場合、主な原因は赤ちゃん側にある自然淘汰で、お母さんの生活が原因で起こるということはありません。薬などの治療法もなく、流産が確定した場合には流産手術(子宮内容除去手術)を考慮します。 と、何も手が無いことが書いてある。他も検索してみたの

    ある社会学者の産婦人科医への罵倒に関して
    yoyoprofane
    yoyoprofane 2019/05/15
    社会学からまた新しいスターが生まれようとしている、、
  • あずまん、囚人のジレンマの囚人は、相棒の供述に関係なく自白するから

    文芸評論家の東浩紀氏が、「“首相の嘘”は囚人のジレンマ状況から生まれた構造的なもの」だと言い出している。 ゲーム理論を持ち出すのはよいのだが、ゲームの構造をはっきり認識すれば曖昧さが排除されて明確な議論になるはずなのに、ポストモダン的に情緒あふれる話になっていると言うか、その前に説明がおかしい事になっているので指摘したい。 1. 囚人のジレンマの囚人は相棒の供述に関係なく自白する 具体的には以下の部分なのだが、分かりづらいが正しくない。 囚人のジレンマという言葉がある。ばらばらに収監された2人の囚人は、相互不信にとらわれた結果、双方にとって不利な決断を下すことがある。その状況を意味する、ゲーム理論上のモデルである。 二名が共謀して犯罪を犯して収監されたときに、二人とも黙秘を行なえば二人とも微罪で済むが、どちらか片方が自白を行なえば自白した方は無罪で黙秘した方は極刑になり、両方が自白すると二

    あずまん、囚人のジレンマの囚人は、相棒の供述に関係なく自白するから
  • リフレ派の「(もう大して)経済成長しない」への反応にある誤謬

    社会福祉士で社会運動家の藤田孝典氏が、過去データから「(もう大して)経済成長しない」と言ったのに*1、リフレ派の皆さんが色々と文句をつけている。経済成長の余地が小さいので、低成長を前提に政策を考えましょうと言うのが、なかなかリフレ派には受け入れ難いようだ。「経済成長をしなければ皆が貧しく不幸になる」と言うような批判している。しかし、これはひどい誤読である。 1. 経済成長率≠生活水準 具体的には「今の我々の生活は経済成長の賜物だ。経済成長がなければ、教育や娯楽もなく、疫病や災害で大量死し、職業も住む場所も服すら選べず、飢え死にや人身売買が当たり前になる」と非難しているジャーナリストがいたのだが、最初の文はともかく、続く文は論理的におかしい。経済成長は差分だ。経済成長によって生活が豊かになるのはそうであるが、経済成長が無くてもマイナス成長でなければ生活水準は下がらない。 2. 経済成長しない

    リフレ派の「(もう大して)経済成長しない」への反応にある誤謬
  • 山口二郎の科研費について杉田水脈に踊らされる前に知っておくべきこと

    杉田水脈衆院議員が、政治学者の山口二郎氏が過去に10名を超えるグループの研究代表者として10年で累計6億円の科学研究費を取っていた事を示唆し、ちょっとした騒動になっている。杉田氏はこの金額が妥当ではないと言いたいようだが、その弁に煽られるのは問題だ。金額だけで是非を判断する事はできないし、科研費は研究計画書に基づいて文科省が採択し、その支出は厳しく管理され研究に関係の無いことへの支出は許してくれない。研究に関係ある事にも支出させてくれないと言う愚痴すらある。 1. 科研費の使途は厳しく管理されている 科研費は文科省が出している研究資金で、文科省の規約にしたがって大学事務等の研究者の所属機関が使途を管理している。過去に色々と不正があったために年々と利用ルールが厳しくなっており、今ではもっとも扱いづらい研究資金の一つとさえ言えるであろう。飛行機の半券や物品の領収書を取る事は勿論、出張先での宿泊

    山口二郎の科研費について杉田水脈に踊らされる前に知っておくべきこと
  • 子宮頸がん/HPVワクチン副作用に関する名古屋スタディの統計分析の問題点

    速報が名古屋市のウェブサイトから消された事で話題になった子宮頸がん/HPVワクチン副作用に関する名古屋スタディの統計分析が、Papillomavirus Researchと言う学術雑誌に掲載された(Suzuki and Hosono (2018))。 論文掲載だけでは確定とは言えず、論文の粗を探し出し、他の研究とつき合わせて初めて科学的な結論が出てくるのだが、副作用が無いことが明らかにされたと調子にのっている人がそこそこいるので、この論文の粗を指摘しておきたい。 この手の疫学調査で常に悩ましいのは、比較対象が狙った処置以外の点において均質にならない事だ。ワクチン接種の場合だと、健康状態の良い人々がワクチン接種を行ない、健康状態の悪い人々が接種しないような可能性が入る。所謂、内生性の問題。 Suzuki and Hosono (2018)は、内生性のコントロールに失敗している蓋然性が高い。年

    子宮頸がん/HPVワクチン副作用に関する名古屋スタディの統計分析の問題点
  • GDPの改訂によって、ここ4年間の経済が明るく見える

    uncorrelated ソフトウェア・エンジニアJava JavaScript PostgreSQL Oracle 等を使っています。Oracle Certified Professional。Sun Certified Programmer。 詳細プロフィールを表示

    GDPの改訂によって、ここ4年間の経済が明るく見える
  • シムズ式脱デフレ策はリフレ派のそれとは随分異なる

    先日、ノーベル賞経済学者のシムズ・プリンストン大学教授が来日して、あちこちでシムズ式脱デフレ策を披露して去っていった。そして、いつもの事だが、図ってか図らずか、権威の発言を捻じ曲げている人々が現われている。特にネット界隈のリフレ派の皆様の解釈がおかしい事になっているので指摘しておきたい。追加的な量的緩和も、追加的な財政政策も求めていないから。 1. シムズ式脱デフレ策 インタビューをちゃんと読めば誤解する事はないはずなのだが、シムズ教授の処方箋は(1)インフレ目標値達成まで消費税増税を延期するだけのシンプルなものだ。加えて、(2)追加的な財政政策は不必要としており、(3)インフレ目標値到達後、段階的に消費税率を引き上げて財政再建をすることと、(4)インフレによる累積債務の削減は望ましくないこと、(5)ゼロ金利政策以外の非伝統的金融政策、特にマイナス金利の効果を否定している。 2. インタビ

    シムズ式脱デフレ策はリフレ派のそれとは随分異なる
  • 従軍慰安婦像の撤去は日韓外交を合意へ誘うと言えるのか?

    日韓外交をゲームで捉えると不謹慎だと言う人もいるらしいのだが、ゲーム理論のような構造的な視点から見てみるとすっきり説明できる事もある。それが現実を反映しているかは定かでは無いのだが、交渉の要素が当に鍵になるのか、どういう原理で鍵になるのかが明確になるからだ。先日の日韓首脳会談を受けて、朴政権が韓国の日大使館前の従軍慰安婦像を撤去することが、従軍慰安婦問題の解決につながると言う主張が見られるのだが、その妥当性について考えてみたい。 1. 韓国の合意維持可能性が問題になっている 従軍慰安婦問題に関する日韓の外交交渉の問題の一つは、韓国政府が合意を維持できない可能性がある事だといわれている。実のところ、河野談話とアジア女性基金は日韓で打ち合わせた上での施策であったが、挺対協を先頭とする韓国国内からの強い反発を受けることになり、現在まで従軍慰安婦問題は混迷を続けることになった。この経緯から韓国

    従軍慰安婦像の撤去は日韓外交を合意へ誘うと言えるのか?
  • 税制に一家言持ちたい左派は読んでおくべき「税と正義」

    ネット界隈には左翼思想の人々は多く、再分配を強化するように税制を変えようと主張している。また、再分配的な政策を否定する“新自由主義者”を熱心に批判している。しかし、その議論は往々にして直感に基づく素朴なもので、実証的な根拠に欠くだけではなく、倫理的にも脆弱なものが少なくない。しかし、きっちりした議論を展開したくても、自分で考えると辻褄が合わなくなってくる。だから、他人の議論を借りてくるのがお手軽だ。全部がそうではないが、そういう用途で『税と正義』は参考にできるになっているので、左派の皆様にお勧めしたい。 1. 大雑把な着眼点と主張 著者二名はニューヨーク大学で教鞭を取る倫理学者で、財政学者のレクチャーを参考にしつつ書を書き上げた。思い込みによる新古典派経済学批判は無いし、逆に理論モデルと実証研究が示唆することに差異があることも把握している。旧態依然としたマルクス主義哲学やマルクス経済学

    税制に一家言持ちたい左派は読んでおくべき「税と正義」
  • 池田信夫と相関係数と45度線

    以前から経済評論家の池田信夫氏が統計学に疎いのでは無いかと言う指摘があって、その代表的な問題にSmith(2006)で指摘されていた以下のフィリップス曲線に関する説明がある(池田信夫 blog(旧館))。 ここでの池田氏の説明が意味不明な所が多々あり、先日の元官僚の高橋洋一氏の回帰分析を酷評する池田氏も他人の事は言えないのでは無いかと思う人もいたようだ。 フィリップス曲線も知らないで「これはひどい」とか言っている人もいるようだけど、「相関」というのは、45度線になったときが最も高く、垂直または水平になったときはゼロ(相関なし)です。 この説明がおかしい事は、統計学の授業をとった人だとすぐに分かると思う。全ての観測値が回帰直線上に乗っていれば相関係数が1なのであって、回帰直線の傾きは関係ない。また、「45度線」は経済学では原点を通るy=xの線である事が多く、切片項も忘れているような気がしなく

    池田信夫と相関係数と45度線
  • 正規雇用の減りっぷりについて

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  • ユダヤ人国会議員「パレスチナ人の母親は皆殺しにすべき」

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  • かけ算の順序にこだわる教師と出版社の皆様へ

    東北大学の黒木玄氏が“掛算の順序にこだわる教え方”に関して意見表明をしろとツイッターで呼びかけていた*1ので、微力ながら“掛算の順序にこだわる教え方”への反対意見を表明をしてみたい。 “掛算の順序にこだわる教え方”と言われても理解できない人が多いと思うが、小学校の算数で問題文と数式の構造を強く結びつける教え方だ。例えば1個100円のリンゴが5個ありその総計金額を求める場合、100×5=500と立式するのが正解になり、5×100=500が不正解になる。わけが分からない? ─ 私も良く分からない。 驚くべきことに、最近の小学校では交換法則(可換則)を教えた上で“掛算の順序にこだわる教え方”を続けているそうだ。毎年、秋口になると意味不明なバツを子供がもらっていると話題になる*2。ここ数日は、以下のような怪しい授業ガイドが出回っていた。 xとyと言う変数を使っているので小学6年生に教える内容のよう

    かけ算の順序にこだわる教師と出版社の皆様へ
  • 池田信夫はなぜまともな作文をするのがこれほど困難なのか

    経済評論家の池田信夫氏が『「軽税国家」日で増税はなぜこれほど困難なのか』で、負担と受益のバランスが崩れているので、増税に関して国民的合意が取りづらいと主張している。趣旨が分からなくも無い部分もあるが、色々と事実誤認が多くて問題点が多いし、消費税率引き上げに賛成してきた今までの池田氏の論と整合性が無い。 消費税の税率に関して、日は軽減税率が無いので実効税率が思ったよりも高いことを忘れている。「EU(ヨーロッパ連合)諸国のほとんどは15~25%で、アメリカは州によって違うが10%以下。日のように5%というのはカナダと台湾とナイジェリアだけで、これが10%になっても世界の下から20位ぐらいである。」と指摘しているが、2010年のGDP比で見てみると、日は7%、米国は5.5%、イギリスが14.1%、ドイツは14.0%、フランスは14.5%となっている(租税負担率の内訳の国際比較)。つまり、

    池田信夫はなぜまともな作文をするのがこれほど困難なのか
  • 金融政策の効果は数年後?高橋洋一の説明たれ流す報道はアテにならず

    元官僚の高橋洋一氏が「日銀の説明たれ流す報道はアテにならず」と言うタイトルで、日銀批判を行っている。『まったくチェックの働かない「日銀の広報」のような記事』だと批判するのはよしとして、主張している内容で大きな事実誤認があるように思える。 つまり、「過去のデータからいえば、(マネタリーベースやバランスシート規模が拡大が)貸し出しに回るのはかなり遅れて、景気好転時から2~3年後」とは当なのであろうか? まず一般的な金融政策の効果は、大抵は半年以内に観察できる事が多い。以下は金利の効果を分析したBarnanke and Blinder(1992)だが、最後の失業率に影響が出るのが半年後。 また、高橋氏は「実質金利(名目金利-インフレ予想率)が低くなって、為替は円安に振れ*1、設備投資が徐々に高まってくる」と言うけど、多・黒木・立花(2010)では影響が観察されず、原田・増島(2008)では短

    金融政策の効果は数年後?高橋洋一の説明たれ流す報道はアテにならず
  • 比較優位で考える、ソフトウェア開発現場でダメ人間がプロデューサをする理由

    ソフトウェア開発現場で往々にして、恐らく貴方の職場でも、ダメ人間がプロジェクト・マネージャやプロデューサ、もしくはコンサルタントをしている光景を見かける事だと思う。何故、ダメ人間が指示命令する立場にあるのであろうか? ─ リカードの比較優位がその理由を教えてくれる。 1. 普通の人間Aさんと、妄想癖のある人間Bさんのチーム 普通の人間Aさんと、妄想癖のある人間Bさんが現場にいるとする。プログラム作成と企画業務が、タスクとして存在する。Aさんは論理的にモノを考えられるので、プログラムも企画業務もできる。Bさんは妄想癖があるので、プログラムを組むと生産性が極端に低く、企画業務も普通にダメだ。 このとき、AさんとBさんが同じようにプログラム作成と企画業務を行うと、Bさんが行ったプログラム作成がプロジェクトに致命的な結果をもたらし、破綻する。そこでAさんがプログラムを担当し、Bさんが企画業務を担当

    比較優位で考える、ソフトウェア開発現場でダメ人間がプロデューサをする理由
  • 経済学者を名乗る池田信夫の学識を疑う

    池田信夫氏も目を引くタイトルで記事を大衆に読ませたいのだと思うが、「携帯電話は原発より危険だ」という記事が、経済学者というか社会科学者として問題の多い記事になっているので、指摘したい。 CNNの、WHOが携帯電話の利用が発がんリスクを引き起こしうるとしたという報道と、放射線の被害で、原発災害の放射線被害への危惧を皮肉った内容だ。社会科学者としての良識を疑うような釣り記事で、悪い冗談としか思えない。 1. 英語の読解能力が疑わしい 「~かも知れない」という可能性を現す表現を、「~だ」と断定を現す表現に変えるのは、扇動目的の意図的なミスリーディングのように思えるが、あえて池田氏の英語の読解能力を疑う事にする。 CNNの記事

    経済学者を名乗る池田信夫の学識を疑う
  • JBPRESSの現場自衛官の声にある疑問

    JBPRESSに「災害派遣、現場自衛官から上がる悲痛な声」という、“現役自衛官・藤井源太郎”氏の書いた記事が掲載されている。 内容が真実であれば、政府の災害対策に問題があると言う事になるが、文面を読む限りは詐称を疑いたくなる内容だ。 1.“現役自衛官・藤井源太郎”氏の記事の内容 記事の内容を列挙すると、以下のようなものだ。一見すると、なるほど、ありそうな話である。 被災地(三陸海岸?)の治安が悪化している。窃盗行為が多数。 活動に必要な物資が不足している。抗生物質、ヨウ化カリウム、携帯無線機、懐中電灯、重機、放射線防護服。 交代部隊が確保できていない。 人員移送に問題。陸路で東北と九州を何度も往復する自衛隊員もいる。 装備品が役立っていない。原発敷地内のがれき除去用の74式戦車は役立っていない。 自衛隊に災害救助の予算はほとんどない。 「トモダチ作戦」の費用は半分以上が我が国負担になる。

    JBPRESSの現場自衛官の声にある疑問
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