過去2回にわたってお届けしてきたまつもとゆきひろ氏へのインタビューは今回が最終回となる。「誰かがRubyを実装し直したとしたら、いまのRubyよりもずっとエレガントで速いものができるはず」と語るまつもと氏は自身の存在価値をどのように見ているのかに迫る。 14年の歳月を経た今も、まつもとはRubyの開発で中心的な役割を果たし続けている。継続することこそが最も難しいといわれるオープンソースソフトウェアの開発において、1人の開発者が長期にわたって中心的な役割を果たし続けている例はそれほど多くない。こうしたことは、成功したから継続しているのだと思われがちだが、実際にはそう単純なことばかりではない。Rubyも、世界的に知られ始めたのは英語の書籍が発売された2000年秋以降で、Ruby on Railsによって広く使われるようになったのはこの2年ぐらいのことだ。その歴史の半分以上の年月は、いわば「下積