前回このコラムで取り上げた、岡山県精神科医療センターにおけるランサムウェア事案調査報告書には大きな反響がありました。前回の記事は、ぜひこのレポートを読んでほしいということに注力した内容としましたが、皆さん読んでいただけたでしょうか。このインシデントを「人災だ」とし、非常に鋭い内容のレポートに仕上がっているため、タイトルだけでなく全文をしっかり読んでもらいたいと思っていました。 個人的に最も重要だと思ったのは、「閉域網」神話への妄信が続いている現状に対する警鐘です。このインシデントの初期侵入は、恐らく保守向けに設置されていたSSL-VPN装置ではないかと考えられています。報告書によると、システム内に設置された医療機器をはじめ、そのほとんどが境界防御を前提とした「閉域網」というセキュリティ施策を取り入れていたとされています。 同レポートでは、医療業界のインシデントを解説していますので、医療業界
