モラハラ夫はなぜ、食洗機やロボット掃除機などの便利家電を目の敵にするのか。弁護士の堀井亜生さんは「モラハラ夫の顕著な傾向として、家事を全くしないというものがある。彼らは金額や効率ではなく、『妻が時間と手間をかけて家事をすること』そのものに強くこだわっていることが多い」という――。(第3回/全3回)

「予算増で少子化解決」は幻想である 子育て関係の予算を増やせば少子化は解決する。 そんなことをいまだに政府の少子化対策の会議体などで言い続けている有識者がいます。驚くべきことに、新聞やテレビなどのマスメディアがそれを何の検証もすることなく報道していたりもします。 日本の子育て関係予算(OECDなどの統計上)は家族関係政府支出と呼ばれているものなので、以降は家族関係政府支出と記しますが、この予算規模は、確かに北欧やフランスなどに比べれば日本は割合として低いことは事実です。しかし、この予算を増加すれば少子化が改善されるなどという因果も相関も存在しません。 この家族関係政府支出とは、児童手当や児童扶養手当、就学前保育等児童福祉サービス、育児休業給付、出産給付などが含まれ、高齢者向けの支出は別ですので、あくまで出産や子育てに関係するもののみとなります。 「予算3倍」でも出生数は30%も減少 まず、
中国で、男性同士の恋愛を描いたボーイズ・ラブ(BL)作品が人気を集めている。その理由は何か。『BLと中国』(ひつじ書房)を書いた立命館大学政策科学部の周密助教に、ジャーナリストの高口康太さんが聞いた――。(前編/全2回) “中国BL”の恐るべき実力 「もし検閲がなければ、中国コンテンツがBL市場を制覇していただろう」 なんとも強烈なパワーワードだ。漫画『魁‼ 男塾』の名台詞「江田島があと10人いたらアメリカは日本に負けていただろう」に匹敵する勢いを感じる。面白いのは中国人の言葉ではなく、中国BLの質の高さに驚いた日本BL関係者の発言だという。 BL(ボーイズ・ラブ)は、「主に女性向けの、男性同士のラブロマンスを描いたジャンル」を指す和製英語だ。中国ではこのジャンルを指す用語として、「耽美」「BL」などがあったが、現在では「耽美」が定着している。 実際、中国BLおよびその関連作品は日本を席巻
2025年に「団塊の世代」の全員が75歳以上となり、国民の5人に1人が後期高齢者となる。社会保障費は高まる一方で、現役世代の社会保険料の負担がさらに大きくなるのは必至だ。医師の筒井冨美さんは「介護の現場の人材不足は深刻で、財政的にも公費による高齢者医療・介護で『可能な限り延命し手厚く介護』する現在のやり方を根本的に変える時期にきたのではないか」という――。 立民と国民民主が「訪問介護」緊急支援を要請した背景 2025年1月29日 立憲民主党と国民民主党は、2024年度に介護報酬が減額された「訪問介護」に深刻な影響が出ているとして、緊急支援の法案を衆議院に共同で提出した。確かに、先の介護報酬改定では「利益率が高い」と判断された訪問介護関連項目は2~3%減となっている。 介護事業者の倒産が過去最多 2024年の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産は、過去最多の172件(前年比40.9%増)、
「先生がこわい」と言ったら、どう返せばいいか 学校に行きたがらない理由は、子どもから詳しく聞き出さなくても、これまでの言動、状況や背景を考えてあげることで、こういうことで悩んでいるのだろうな、と考えてあげてほしいと思います。 私がよく聞くのは、部活や学校の不満を口にしていたのに、ある日突然、その話をしなくなり、どんどん元気を失っていったというケースです。親は、子どもがその話をしなくなったので解決したのかなと思っていたら、実際にはそうではなく、まったく逆の状況だったというものです。 また、小学校1年生など小さい子は、「先生がこわい」と言うことがあります。子どもがそう言ったら、「どうしてこわいと思ったの?」というように、どんなことがあってこわいと感じたのかを聞いてみるのがいいと思います。 すると、「先生がこわい」という言葉だけでなく、怒鳴るとか、ある子にだけ執拗しつように怒るといった事実を聞き
「女性への贈り物」の定番になった国産ブランド 30年あまり前のバブル景気の真っただ中、メイド・イン・ジャパンのジュエリーとして安定した人気を誇ったのが「4℃」である。カルティエやティファニーには手が届かぬ若い世代を中心に、とくに男性から女性へのプレゼントとして、ネックレスや指輪、イヤリング、ピアスなどが定番となっていた。 持ち株会社ヨンドシーホールディングス(HD)社長の増田英紀氏(60歳)は、「当社はギフト需要に強みがあって、男性から女性への贈り物としてお買い上げいただくジュエリーとしてご支持をいただいてきました」と話す。 1989年に大学新卒で入社した、子会社でジュエリー事業を担うエフ・ディ・シィ・プロダクツ(FDCプロダクツ)社長の瀧口昭弘氏(57歳)は、まさに4℃が若い世代を中心に人気を集めていった時代に、自らのビジネスパーソンとしての成長が会社のそれとともにあった。 「もともと4
イタリア料理店「サイゼリヤ」をめぐっては「初デートで連れて行ってもいいのか」という話題が、たびたびSNSをにぎわせている。サイゼリヤ創業者で、『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか』(KADOKAWA)を出した正垣泰彦会長に、ライターのヨッピーさんが直撃した――。(後編/全2回) なぜサイゼリヤのオフィスは「普通」なのか (前編から続く) 【ヨッピー】変なことを聞きますが、質素な机で仕事をして、前回お伺いしたように毎日サイゼリヤに行って食事して、ってすごくつつましい暮らしをしているように見えるんですが、豪勢な食事をしたい、とか豪勢な暮らしがしたい、とか思わないんでしょうか? 【正垣会長】会長の机が立派でもお客様は喜ばないですからね。雨が降ると困るから最低限屋根はほしいけど(笑)。 一度、アメリカのウォルマートの本社に行ったことがあるんですが、あそこの
コロナ禍初期に社会問題化した「パニック購買」 コロナ禍初期、食品や日用品を過度に買い占める“パニック購買”が社会問題になりました。そのとき実際にどのような人たちがパニック購買したのでしょうか? こうした問いを立てながら、筆者らの研究グループでは、その特徴をデータから明らかにしていくことに取り組みました。 具体的には、20~69歳の3万8213人から収集した約3年分の食品・日用品の購買データを使って、市場において「急激な購入の増加」が起きたタイミングや、そのときに購入された商品の特徴などを分析しました。これに加えて、消費者心理を捉えるアンケート調査やモバイル・テレビの視聴ログといった行動データを同一の調査対象者から収集し、最終的にすべてのデータがそろった968人を、多面的な視点から詳細に分析していきました。 通常時よりも何をどれだけ多く買っていたのか パニック購買自体は昔から非常によく知られ
裁判官の寅子(伊藤沙莉)が法で人を裁くことの難しさに直面するドラマ「虎に翼」(NHK)。ノンフィクションライターの神田憲行さんは「放送最終月で、ある女性が実の父親に性虐待され5人の子を産まされ、結婚に反対されて家に閉じ込められた末に襲ってきた父親を殺した55年前の事件を出してきたので驚いた。実際に事件を担当した大貫弁護士に取材したことがあるが、大貫氏は法制史に残る判決を勝ち取った」という――。 「虎に翼」の最後で「尊属殺重罰規定違憲判決」が描かれる驚き まさかこの大詰めに来て、「尊属殺重罰規定違憲判決」をぶっ込んでくるとは。 「虎に翼」が残り3週になったところに、父親を殺したという美位子(石橋菜津美)という女性が登場し、いきなりデカいネタを放り込んできたことに驚いた。どうやら制作陣は戦後の法制史において、重要なポイントは全部触っていくつもりらしい。 もともと原案ともいえる清永聡さんの『家庭
「原爆裁判」とは、昭和30年代に被爆者によって原爆投下の違法性が初めて法廷で争われた国家賠償訴訟のこと。この裁判をご存知なかった方も多いのではないでしょうか。 広島や長崎で被爆した人たちが日本政府の責任を追及した裁判です。非常に重要な裁判だったにもかかわらず、今の世の中で一般の人には半ば忘れ去られた裁判でもあります。 取材にあたり、東京地裁に問い合わせてこの裁判記録の保管状況を調べてもらいましたが、資料は廃棄されているとのこと。本来は裁判所が「特別保存」すべきものですが、近年全国の裁判所で民事訴訟記録の大量廃棄が明らかになり、原爆裁判記録も判決文を除き、すべて捨てられていました。残念なことです。 原爆をめぐっては「被爆者」の認定を求める集団訴訟が今も続いていますが、原爆裁判の意義は、「原爆投下は国際法に違反するか」を直球で問うものだったことです。私は『家庭裁判所物語』(日本評論社)を書く際
きょうだいの組み合わせはその人の人生に影響があるのか。拓殖大学准教授の佐藤一磨さんは「弟がいる長女のほうが男性が少ない職場で働き、所得水準が低くなる傾向にある」という。その理由とは――。 兄弟姉妹の組み合わせによって人生は変わるのか 我々人間はさまざまなものから影響を受けて成長します。この中でも大きな影響を及ぼす要因の1つとして、家庭環境があげられます。 家庭環境は子どもの成長に大きな影響を及ぼすと考えられ、経済学でもこれまでさまざまな分析が行われてきました。 この中で最近注目を集めつつあるのが「兄弟姉妹の組み合わせ」です。ここでの「兄弟姉妹の組み合わせ」とは子どもが2人以上いる場合において、同性のみなのか、それとも異性も含まれているのかという点を指しています。 子どもを持つ親にとって、何人の子どもを持つのかという点は自分たちでコントロールできますが、生まれてくる子どもの性別まではコントロ
自分のせいで家族が破綻…なのに信者をやめない理由 安倍晋三元首相を綿密な計画で銃撃した山上徹也容疑者(41)。すでに報じられているように、その動機については旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)に入信した母親が約1億円を献金したことで家庭が破綻したこと、また、元首相のことを教団のシンパであると考えたことがあるとされています。 容疑者ファミリーが歩んだ歴史は壮絶なものです。容疑者の父と兄は自殺、本人も自殺未遂。そんななか、母親は宗教にのめりこみ続け、自宅などを売り払ってまで献金。現在も旧統一教会に在籍し、年金から献金しているといった報道もあります。下記は、現在までに報道されている容疑者ファミリーの主な歴史です。 【容疑者のファミリーに起きた出来事】(参考文献『週刊新潮』(7月21日号)ほか) ・父親:京都大学卒で、会社を経営していたが、母親(妻)が別の宗教にのめりこんだことを苦に自殺。 ・兄:
「晋ちゃん、晋ちゃん」と声をかけた 「行く先々で、初めてお会いした方々が『応援しています』『昭恵さん、頑張って』と声をかけてくださる。そのたびに、『夫は本当に多くの方に支えていただいていたんだな』と思うんです。私も、たくさんのご縁に感謝しながら日々を過ごしています」 こんな一言からも、安倍昭恵さんの夫・安倍晋三元総理に対する思いや姿勢が伝わってくる。声を掛けられているのは昭恵さん自身だが、それは「夫への応援」なのだ、ととらえているのだ。 それだけに、安倍元総理が銃撃されたと聞いた際、真っ先に思い浮かんだのは昭恵さんのことだった。しばらくして、搬送先の病院に向かう昭恵さんの気丈な姿がテレビに映った。昭恵さんが病院に到着して間もなく、安倍元総理の死亡が確認されたと報じられている。 医療関係者のコメントを見るに、家族が到着するのを待って、「蘇生処置を止める」ことを確認した、ということなのだろう。
「民主主義を断固として守り抜く」への違和感 岸田文雄首相は、2022年7月14日に開かれた記者会見にて、凶弾に倒れた安倍晋三元首相の葬儀を今秋に「国葬儀」の形式で行うと発表した。 その理由として挙げられたのは、①憲政史上で最長期間首相を務めたこと、②さまざまな分野で重要な実績をあげたこと、③国内外から哀悼の意が寄せられていること、の3つである。そして、「安倍元首相を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く」と国葬の意義を語った。 私は、この会見の内容を目にして恐ろしさを覚えた。 3つの理由は、どれも納得できるものではないが、事前の報道で話題になっていたこともあって驚きはしなかった。ただ、岸田首相の言葉にある「民主主義を断固として守り抜く」は意味がわからなかった。不当な暴力で亡くなったからといって、安倍元首相を国葬にすることがどうして民主主義を守ることになるのか。
食っていけない子どもが育つ「家の環境」 多くの子育ての悩みに接していると、ある共通点のようなものが見えてくることがある。 「このご家庭とこのご家庭は雰囲気がなんとなく似ているけれども、お悩みのポイントも似ているなぁ」という事例が交錯することがあるのだ。 例えば、子どもが引きこもりになったり、登校拒否になったりしたために、相談を受けることも多いが、その過程で独特な「ご家庭のにおい」を感じることも、また多い。ケースによっては、思春期はなんとかクリアしても、大学生・社会人となって突如、無気力になったり、ニートになったりするケースも少なくない。 もちろん、その「芳香」を発していたから、すべてがそうなるとは言えず、引きこもりも登校拒否もニートも「当人の事情」ということも十分有り得るし、徐々に回復することも多い。 ただ、「ハザード」という潜在的に危険因子となり得るものを知り、「リスク」という現実に危険
「アイドル化」と「SNS上でのアイデンティティの労働の義務化」 「推される側」も、金銭を得るためには相応の武器がいる。外見か内面の面白さか。ただ現在でイチから「推される側」になるにはSNSの駆使は欠かせない。特に歌舞伎町のホスト、バーテンダー、メンズキャバクラや女性専用風俗のキャストは、いかにぴえん系女子を釣るかというSNS運用が求められる。店側から投稿数、フォロワー数、RT数、いいね!数などノルマを設けられるのだ。 こうした接客業のSNS運用について、メイドカフェ研究をしている社会学者の中村香住は、「現代ビジネス」2021年8月6日配信の「メイドカフェの『メイド』が悩む、時間外労働としての『SNS労働』」でこう述べている。 メイドカフェを一般の飲食店と比べた時にはいくつかの特徴がある。その中でも大きいものとして、通常の飲食店よりも店員個人がフィーチャーされ、場合によっては「商品」化されて
実際に「最近の若者だけがデートや恋愛をしなくなったわけではない」ということは統計上明らかで、繰り返し私が言ってきたように「いつの時代も恋愛しているのはせいぜい3割程度」という「恋愛強者3割の法則」があります。 今回の内閣府の調査でも、20代男性の「配偶者・恋人のいない割合が65.8%にもなった」と大騒ぎしているのですが、そもそも20代男性の未婚率は86%であり、未婚者全体を100とすれば恋人のいない未婚男性割合は約76%となります。つまり、恋人のいる恋愛強者率は24%ということで、きっちり3割内の範疇に収まります。 今も昔も恋人がいる率は3割しかいない かつて、<独身が増え続ける原因を「若者の恋愛離れ」にしたがるメディアの大ウソ>という記事でもご紹介したように、1982年以降の出生動向基本調査による長期推移を見ると、婚約者・恋人がいる率(18~34歳)はおおむね男性20%台、女性30%台で
プロフィール欄に「秋葉原事件加藤智大の元同僚で友人です」と書かれたTwitterのアカウントがある。アカウントの所有者である大友秀逸さんは、仙台市の警備会社で加藤智大死刑囚と一緒に働いた経験がある。「実名・顔出し」で情報発信をしており、このため何度もメディアの取材を受けてきた。なぜそんなリスクを引き受けているのか。無差別殺傷事件を取材している写真家・ノンフィクションライターのインベカヲリ★さんが聞いた――。(第1回) ※本稿は、インベカヲリ★『「死刑になりたくて、他人を殺しました」無差別殺傷犯の論理』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。 「『人を殺したい』という内容のメールが来るんです」 こんなツイッターアカウントがある。 「秋葉原事件加藤智大の元同僚で友人です。どなたでもご意見や質問などございましたら自由に書き込んでください」 「秋葉原無差別殺傷事件」が起きたのは、2008年
全体的には、未婚および離別・死別などの独身のほうが孤独を感じやすく、女性より男性のほうが孤独を感じやすい。さらに、年齢的には、30~50代の中年層が孤独を感じやすいという傾向が見てとれます。もっとも孤独を感じやすいのは、男性では50代で配偶者と死別した層、女性では30代で離婚した層でした。 孤独を感じることと「それを苦痛に感じる」ことは別問題 しかし、単純にこれだけを見て、「やっぱり結婚したほうが孤独じゃないんだな」と結論づけてはいけません。そもそも「孤独が問題だ」と大声で騒ぐわりに、性別や年齢、配偶状況にかかわらず「孤独を感じる」という割合は過半数にも達していないわけです。高齢者の孤独という話題もありましたが、これを見る限り、むしろ高齢になるほど孤独感は感じない傾向もあります。ある意味、現役世代で人との交流機会が多いはずの年代のほうが孤独感は高いということになります。 そして、忘れてはい
吉野家の役員の「生娘をシャブ漬けにする」という発言の本当の問題点はどこなのか。精神科医の松本俊彦氏は「覚醒剤依存症の人の多くは、自己肯定感が低く、孤独に苦しんでいる。『シャブ漬け生娘』という表現は、そうした人たちをより苦しめることになる」という――。 吉野家騒動に潜んでいるもう1つ別種の差別 「田舎から出てきたばかりの生娘をシャブ漬けにする企画」。吉野家の伊東正明・常務取締役企画本部長は、若い女性向けのマーケティング施策についてこう表現し、役員を解任された。不快に思うのは無理もない。なにしろ、その表現には、吉野屋を訪れる客を馬鹿にしているばかりか、人身売買的犯罪を肯定するようなニュアンスが含意されているからだ。 とはいえ、ちょっと気がかりなことがある。 くだんの発言を非難する人のなかには、「シャブ漬け生娘」という表現から「シャブ山シャブ子」(「相棒 Season 17」, テレビ朝日, 2
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