1月中旬、栃木県の鬼怒川温泉に行ってきた。 東武鬼怒川線の鬼怒川温泉駅に下り立つと、駅前の観光案内所からふたり連れの若い女性が出てくるところだった。ふたりの話し声が聞こえてくる。どうやら、泊まる宿を紹介してもらったようだ。 温泉街を、ふたりが前を歩き、筆者がそのあとを追うかっこうになった。 べつに下心があるわけではないが、「もしかしたら同じ旅館かな」と、なんとなく胸がときめく。 残念ながら、同じ宿ではなかった。 さて、写真は鬼怒川の峡谷である。奇岩、巨岩のあいだを流れる水は青く冷たく澄み、なかなか壮観である。しかし、視線をやや上方に転じると、峡谷の両岸にびっしりと建ち並んでいるのは旅館やホテルであり、次の2枚の写真のような廃墟も目立つ。倒産、あるいは廃業した旅館・ホテルの残骸である。 そもそも、旅館やホテルは自然を破壊して建てられた。役目を終えた建物はすみやかに取り壊し、木を植