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ブックマーク / www.rieti.go.jp (55)

  • RIETI - 行動経済学の光と影 期待過剰は信頼失墜もたらす

    2002年にノーベル経済学賞を共同受賞した心理学者で米プリンストン大学名誉教授だったダニエル・カーネマン氏が3月27日、90歳で亡くなった。行動経済学を切り開いたことで世界的に著名な研究者だった。 米ジャーナリストのマイケル・ルイス氏は、カーネマン氏を世界的な「人間の間違いについての権威」と表現する(1)。米国で行動経済学コンサルティングに携わる研究者、相良奈美香氏がたたえるように、その研究は人の意思決定に対する社会の理解を根から大きく変えた(2)。 ルイス氏によると、ユダヤ人であるカーネマン氏は、第2次世界大戦時の壮絶なホロコーストを命からがら生き延び、幼い頃から誰も信じてはいけないと教えられていた。自分の記憶さえ信じなかった。「14歳という年齢にして、ダニエルは少年というよりも、少年の体に閉じ込められた知識人だった」。ルイス氏は、カーネマン氏の友人のこんなコメントを紹介している。

  • RIETI - 幸福感と自己決定―日本における実証研究

    国連の世界幸福度報告書によれば、日の幸福度はそれほど高くなく、また、「人生の選択の自由」が低い傾向がある。1970年代以降、幸福度研究では、「主観的幸福感が所得水準と必ずしも相関しない」ことが重要なテーマの1つになってきた。研究では、2万人の日人の調査を行い、様々な質問をすることで、所得、学歴、健康、人間関係、自己決定を説明変数とする分析を行った。その結果、年齢との関係では、幸福感が中年期で落ち込む「U字型曲線」を描き、所得との関係では、所得の増加ほどには主観的幸福感は増加しないことが分かった。また、幸福感を決定する、健康、人間関係に次ぐ要因としては、所得、学歴よりも自己決定が強い影響を与えている。自分で人生の選択をすることが、選んだ行動の動機付けと満足度を高める、それが幸福感を高めることにつながるのであろう。「人生の選択の自由」が低いとみなされる日社会で、自己決定度の高い人の幸福

  • RIETI - どういう人々が新型コロナウイルスのワクチンを接種したがらないか:インターネット調査における検証

    背景:新型コロナウイルスの蔓延を終息させるためには多数の人々がワクチンの接種を済ませることが重要であるが、ワクチン接種に対して抵抗感を持つ人々が多いことも知られている。どのような人々が新型コロナウイルスのワクチン接種に対する抵抗感を持っているかについての実態把握が急務である。 研究方法:経済産業研究所が実施する全5回のインターネット調査の第3回目を2021年4月下旬に行った。主として第3回調査から得られた複数の質問項目(性別、年齢、学歴、同居家族構成、就業状態、世帯収入、預貯金額、BMI、基礎疾患、最も重視する情報源、一般的信頼、うつ、不安、コロナへの恐怖、居住地)を説明変数とした。第3回調査で、ワクチン未接種の人々に対して「接種するつもり」「接種しないつもり」「まだ決めていない」の3つの選択肢からなる接種意欲の質問をしており、これを被説明変数として、「接種するつもり」を参照グループとして

  • RIETI - Heterogeneous Vulnerability to the COVID-19 Crisis and Implications for Inequality in Japan

    研究では、新型コロナウイルス(COVID-19) 危機が、日の労働市場にもたらす多面的変化、特にさまざまな属性(性別・教育水準・雇用形態・産業・職業)の労働者に対して与える影響を分析する。 はじめに、2017年就業構造基調査を用いて、COVID-19危機の影響を受けやすい労働者の属性を特定する。その上で、感染拡大初期の消費支出データ(JCB 消費Now)を用いて、異なる属性の労働者に対してのCOVID-19危機による影響の差異を考察する。 分析の結果、COVID-19危機は低所得者層により大きな打撃を与え、労働市場における格差拡大につながる可能性の高いことが鮮明となった。 -今回のCOVID-19危機は、過去の経済危機とは異なり、人との接触を伴うサービス業などの産業で、在宅勤務が困難な職業に従事する労働者への影響が、大きいと考えられる -そのような最も危機に脆弱なタイプの仕事に就いて

  • RIETI - 欧州の女性が子供を欲しがらない理由

    現在、欧州の多くの国で出生率が急激に下がっており、人口動態は危機的な状況にある。稿は欧州19カ国を対象とした調査データをもとに、低い出生率の原因は、子供を持つかどうかについての夫婦の意見の不一致にあるということを示した。出生率が低い国では、育児負担のほとんどを女性が担うことが当たり前で、そのため子供を持つことに消極的である。女性の育児負担を軽減する政策が出生率の上昇を促す一方、育児支援の一般的な補助金はほとんど効果がないようである。 欧州の人口動態は危機的状況にある。第二次世界大戦後の数十年間は出生率の高い時代が続き、世帯当たりの子供数は3人もしくはそれ以上だったが、近年では子供の数はせいぜい1人か2人に減り、子供を産まないという選択をする女性も増えてきている。このことから、表 1 が示すように、欧州全域で合計特殊出生率(簡単に言うと、女性1人が出産する子供の平均数)は急激に低下している

  • 東京医科入試における女性差別と関連事実 ― 今政府は何をすべきか

    女性割合の調整は憲法違反・教育法違反で募集要項に記して許される問題ではない 東京医科大学が女性合格者を3割以下に抑えるために、入試における得点を女性にのみ一律に減点して員数調整していたというニュースが8月2日に流れ、当然のことながら多くの批判的論考がメディアに出た。このことについて筆者も考えを述べたい。 まず、この種の女性差別が決してあってはならないことで、憲法14条第1項で すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。 とし、またそれを受ける形で教育法4条において (教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。 と記されていることに明確に違反する。 しかし、今回の東

    東京医科入試における女性差別と関連事実 ― 今政府は何をすべきか
  • [PDF]女性の統計的差別とその解消への道筋:賃金の男女格差とその不合理性について

    女性の統計的差別とその解消への道筋: 賃金の男女格差とその不合理性について 山口一男(シカゴ大学教授、RIETI客員研究員) 2 基的観点と目的 • (1)女性差別を日の雇用と賃金制度の問題とその結果と いう限定した枠組みの中で考える。以下「差別」とは直接及 び間接的に雇用、昇進、及び賃金の機会に関して不平等を 生む社会的メカニズムをいい、結果の差のことを意味しない。 • (2)女性差別の根源に統計的差別の問題があると見、企業 にとって合理的か否かという点を議論することを主たる目的 とする。 • (3)計量的実証分析と理論的議論を併立させる。計量的にう まく実証できない部分の男女の賃金格差が大きいことをまず 示し、わが国における先行事例研究の成果と、経済学理論、 特に統計的差別に関する理論、との整合性の高い理論的説 明を試みる。 • (4)わが国における、高い離職率を理由とする女性の統

    yuiseki
    yuiseki 2018/06/22
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  • 特別コラム「個人では超優秀な日本人が、企業体になるとなぜ世界に負けるのか;日本企業の極めて低い生産性の背景に何があるのか」

    個人では超優秀な日人が、企業体になるとなぜ世界に負けるのか;日企業の極めて低い生産性の背景に何があるのか 1 個人では超優秀な日人 OECDは、72カ国・地域の15歳児に対して、2000年から3年ごとに「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」を行っている。2015年の調査には、世界約54万人が参加、日からは198校、約6600人が参加した。その結果、 科学的リテラシー 日 第1位 平均得点538点(OECD平均493点) 数学的リテラシー 日 第1位 平均得点532点(OECD平均490点) 読解力 日 第6位 平均得点516点(OECD平均493点) となった。PISAは、人間の全ての面を正確に評価するものではないが、少なくとも、15歳時点では日人は極めて優秀であることがわかる。 2 企業体になると世界に負ける日人-極めて低い生産性- ところが、超優秀な日人が大人

    特別コラム「個人では超優秀な日本人が、企業体になるとなぜ世界に負けるのか;日本企業の極めて低い生産性の背景に何があるのか」
  • RIETI - 政策の効果をどう測定するか?:海外における「エビデンスに基づく政策」の最新動向

    アメリカやイギリスを始めとする諸外国では、科学的なデータ分析に基づいて政策を評価し、より良い政策の立案や運営につなげていく「エビデンスに基づく政策設計」という考え方が広く浸透しつつあります。BBLでは、科学的な政策評価とはどのようなものなのか、政策担当者・実務家・研究者がどのように協力していく形があり得るのか、といった話題に関して海外での実情や日での事例を交えてお話しします。また、講演終了後は参加者を交えて、日の政策現場でエビデンスに基づく政策を行っていくための期待や課題について議論します。 伊藤: 現在、政策担当者の多くは、政策にどれだけの予算を支出できるか(インプット)を主眼として政策形成をしがちです。しかし、今後は政策がどれだけの効果を生み出すか(アウトカム)を物差しとして政策形成をすべきというのが、私が最も言いたいことです。 どの国も同じ状況だと思うのですが、アメリカでは現状

  • RIETI - なぜ人々はメンタルヘルスを毀損するリスクを冒してまで長時間労働してしまうのか ― 仕事満足度とメンタルヘルス、労働時間に関する検証 ―

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 人的資プログラム (第三期:2011〜2015年度) 「企業・従業員マッチパネルデータを用いた労働市場研究」プロジェクト わが国の精神疾患の患者数は、1996年の189万人から、2014年には318万人と1.7倍に急増しており(『患者調査』、厚生労働省)、メンタルヘルス対策は喫緊の課題となっている。特に、患者数の2/3は生産年齢人口にあたる15-64歳であり、職場における労働者のメンタルヘルス対策は急務である。特にわが国では、以前から過労がメンタルヘルスを毀損させる重

  • コラム「学問・研究における社会的公正と自由競争-小保方氏問題によせて」

    専門外の発言と思えるかもしれないが、社会的機会の均等の問題に実証および社会的発言で深くかかわって来たものとして、見過ごしにできない問題が、小保方晴子氏を巡る報道と、理化学研究所(以下「理研」)や彼女自身の対応にあり、これは日の外から見て摩訶(まか)不思議に見える。それは全く異なる3つの事柄について、あたかもそれぞれの評価が他の評価に関係しているかのごとく語られるからだ。3つの事柄とは、STAP細胞の存否と、小保方氏の不正行為と、彼女への監督・指導責任のある人々の過誤の問題である。 理研の調査委員会は調査報告書において、問題となったNature誌の論文について、画像の使用について不正があったと結論した。しかしネット上でも指摘されたGuo論文の盗用については特に問題としなかった。これが不思議である。またこれもネット上での指摘で明らかになり、筆者も確認したが、小保方氏の博士論文には複数の重大な

  • RIETI - データ・統計

    CIPデータベース 中国産業生産性データベース(CIP)プロジェクトは、一橋大学経済研究所のHarry X. Wu (伍 暁鷹)と深尾京司が中心となり、2010年1月に開始された。同プロジェクトは、一般的な生産関数の枠組みでの分析ができるような一貫性のある産業連関データの構築と、生産と生産性に関する国際比較を目的としている。

    yuiseki
    yuiseki 2013/03/21
  • RIETI - JIPデータベース2012

    経済産業研究所(RIETI)の「産業・企業生産性向上」プログラムの「東アジア産業生産性」プロジェクトでは一橋大学のグローバルCOEプログラム「社会科学の高度統計・実証分析拠点構築」と協力して、日の経済成長と産業構造変化を分析するための基礎資料である、日産業生産性データベース(Japan Industrial Productivity Database、以下ではJIPと略記)の改訂と更新を進めてきた。 今回このウェブ・ページで公開するのは、JIP 2012(2012年12月6日)である。JIP 2012は、1970年から2009年に関する、各部門別に全要素生産性(TFP)を推計するために必要な、資サービス投入指数と資コスト、質を考慮した労働投入指数と労働コスト、名目および実質の生産・中間投入、TFPの上昇率を計算した成長会計の結果、などの年次データから構成されている。 今回の更新はい

    yuiseki
    yuiseki 2013/03/21
  • RIETI - 「知の構造化」学術俯瞰マップ

    今日、情報や知識の量が急増する中で多くの人が情報に溺れ、知識に飢えるという現象が起きています。たとえばGoogleで「無料医薬品」を検索してみるとヒット件数は276万件、「CSR」では日語サイトだけでも2800万件に上ります。このような膨大な量の情報から必要とする情報を得るのは至難の業です。われわれが行なう研究は検索エンジンとは異なる発想で知識の有効利用を目指すものです。 学問領域では専門分野の細分化が進んでいます。かつては「生物学」、「化学」、「物理学」といったように一括りにされてきた領域でも、現在では、生物学を例にとっても「分子生物学」、「生態学」、「細胞生物学」と幾多の分野に細分化され、生物学全般を語れる人の数は非常に限られてきています。同じ学問領域にあっても領域内の他の分野で何が起きているのかは把握できず、このことは大学内でも深刻な問題になっています。 このような状況では学問知識

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    yuiseki 2012/11/04
  • コラム「格差と貧困をどう解決するのか」

    所得格差や貧困が広く報じられ、論じられている割には、国民の貧困や格差に関する認識は、それほど深まっていない。かつて、この国には「一億総中流社会」という流行語があった。これは、国民の大部分が、自分は中流階級に属している、と自認している現象を表す言葉である。実は、この現象は今もなお継続している。内閣府が実施した平成24年度「国民生活に関する世論調査(注1)」によると、国民の92.3%が自分の生活を中程度と見なしているとの結果が出ている。 さらに、8月末公表された平成24年版厚生労働白書(注2)には、ISSP(International Social Survey Programme(注3))と比較可能な設問で収集された「社会保障に関する国民意識調査(注4)」が掲載されている。そこでは、自国の所得は格差が大きすぎるか、という問いに対して71.5%が「そう思う」と答えたと紹介されているが、この割合

    yuiseki
    yuiseki 2012/09/14
  • 特別企画「第1回「ネットワーク分析からみる政策の役割とその可能性」」

    シリーズは、RIETI理事長 中島厚志 が研究内容や成果、今後の課題などについてRIETIフェローにたずねます。 第1回目のインタビューでは研究員 松田尚子 を迎え、比較的新しい分野であるネットワーク分析について、現在の研究の状況と今後どのような成果がでてくるのか。その可能性について話を聞きました。 中島 厚志 (理事長): RIETIでは、女性の研究者も大いに活躍しています。今日はそのお一人である松田さんに、どういう研究をしているのか、その趣旨を伺っていこうと思います。そもそも松田さんは、なぜ経済学に関心を持たれたのですか。 松田 尚子 (研究員): すごく抽象的になりますが、経済は、今、世の中で起こっている状況を、モデルなり数字なりで説明できるからだと思います。 中島: なるほど。統計学がお好きですか? 松田: 経済学のモデルだけで見たときと、実際にデータを入れて分析してみたときで結

    特別企画「第1回「ネットワーク分析からみる政策の役割とその可能性」」
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    yuiseki 2012/08/30
  • RIETI - 技術とイノベーション

    イノベーション過程とその制度インフラのマイクロデータによる研究 プロジェクト期間:2011年4月 1日~2013年3月31日 プロジェクトリーダー長岡 貞男 オープンイノベーションの国際比較に関する実証研究 プロジェクト期間:2011年7月 4日~2013年3月31日 プロジェクトリーダー元橋 一之 イノベーションへの標準政策 プロジェクト期間:2011年8月22日~2013年7月31日 プロジェクトリーダー青木 玲子 優れた中小企業(Excellent SMEs)の経営戦略と外部環境との相互作用に関する研究 プロジェクト期間:2011年8月23日~2013年3月31日 プロジェクトリーダー井上 達彦 起業活動に影響を与える要因の国際比較分析 プロジェクト期間:2011年9月13日~2013年3月31日 プロジェクトリーダー高橋 徳行 日型オープンイノベーションに関する実証研究 プロジェ

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    yuiseki 2012/08/19
  • RIETI - SNSを用いたネットワークの経済分析

    起業環境については、米国に比べ見劣りすると長年指摘されてきた。この要因については、資金、人材、制度面等さまざまに議論され、政策的手当もその都度なされてはきたが、起業数の偏在は、いまだに解消されないままである。この偏在の原因の1つとして研究では、起業家を取り巻く人的ネットワークに着目する。 人的ネットワークとは、起業家の親族、同窓生、職業上の知り合い等を含み、起業やその後の企業運営のための資金調達、人材獲得、その他重要な経営判断に必要な情報を起業家にもたらすことで、起業家が経営するベンチャー企業の業績を大きく左右しうるものである。 このような問題意識から、研究では東証マザーズ上場企業(178社)の「情報・通信業」64社の代表のうち、24人の経営者の友人関係と新興企業の業績との関連についてfacebookのデータを用い、明らかにする。 プロジェクト期間: 2012年3月 6日 〜 2

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    yuiseki 2012/08/19
  • RIETI - 自己中心的社会的ネットワークデータを用いる新たな回帰分析モデル:日本における政治政党選好の分析

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 特定研究プロジェクト (第三期:2011~2015年度) 「SNSを用いたネットワークの経済分析」プロジェクト わが国の経済分析で社会的ネットワークの影響を考慮した分析は増えつつあるが、自己中心的ネットワーク(エゴセントリック・ネットワーク)のデータを用いた分析は皆無である。米国では自己中心的ネットワークと職探しの効率性の関係についてのスタンフォード大学マーク・グラノベッター社会学教授の研究やシカゴ大学経営大学院ロナルド・バート教授の企業の自己中心的ネットワークと企業の

    yuiseki
    yuiseki 2012/08/19
  • RIETI - ビッグデータが迫る研究開発の変革

    最先端の研究開発現場からビジネスまでのありとあらゆる場面で大きな変革―第四のパラダイムと呼称されることが多い―が起きつつある。それは、この一、二年"ビッグデータ"と総称される、質的に極めて多様で膨大な量のデータ群を有効利用することにより、地球から人間にいたるまで様々な対象をモデル化し、目的に応じた、より良い予測情報やサービスを提供する研究開発手段の台頭である。ビッグデータの取扱に必須の基幹的な科学技術は、巨大データベースに関わる工学領域をはじめとして、統計科学、数理工学、機械学習、データマイニングといった、日では人材が量的に不足している研究分野で生まれている。 このBBLセミナーでは、ビッグデータを取りまく日米の現状を概説するとともに、ビッグデータの利活用を阻む日独自の問題点について論じてみたい。 昨今、データを取り巻く環境が激変しています。以前はデータの質・量ともに不足しており、地球