首里城から名護市庁舎、貴重な伝統的木造民家まで、沖縄を知るうえで重要な10の琉球・沖縄建築を建築家が解説する。 年間約1000万もの人が訪れる国内屈指の観光地の沖縄。透き通った青い海と雄大な自然の景観、琉球王国時代の旧跡や第二次世界大戦の戦跡など訪れたい場所は数多いが、優れた建築にも注目したい。独自の長い歴史を持ち、亜熱帯に属する沖縄は、日本の文化と風土の多様性を改めて教えてくれる名建築や歴史的遺産の宝庫だからだ。 本稿では那覇在住の建築家・福村俊治に、ぜひ訪れたい10の琉球・沖縄建築を挙げて解説してもらった。福村は1953年滋賀県生まれ。沖縄の自然と歴史に魅せられ約30年前に東京から移り住み、沖縄戦の犠牲者を慰霊し資料を展示する沖縄県平和祈念資料館(糸満市)の設計で知られる。公共建築や土地に根ざす住宅を手がけ、旧日本軍が首里城の地下に造った司令部濠など歴史的建造物の保存活動にも携わってい