小泉民営化が失敗に終わり、埃をかぶっていた郵政改革法案について、与野党の間に、政権交代以来、初めて、協力して審議しようという機運が出てきた。 復興増税を前にして、政府保有の日本郵政株を売却する道を整えて税外収入を増やし、国民の負担を軽減しようというのである。 その考え方自体は公益にかなうものだし、そもそも筆者が当初から主張してきた内容だけにおおいに歓迎したい。 しかし、現行の改正法案には大きな落とし穴がある。郵便に限られていたユニバーサルサービス義務(全国で広くあまねくサービスを提供する義務)を郵便貯金や簡易保険にも拡大しようという点だ。地方の活性化という表向きの理由と異なり、その本当の目的は、かつて「世襲の公務員制度」と揶揄された特定郵便局制度を末永く温存しようとすることにある。結果として、上場や政府保有株の売却の足かせになりかねない規定なのだ。 このユニバーサルサービス義務の拡大問題は
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