ブックマーク / coldsnapbookworms.hatenablog.jp (92)

  • 患者を抱え込む「なんちゃって専門医」「プライド高き専門医」にご注意。『その診断を疑え! 』 - 密林の図書室

    著:池谷 敏郎 著者が院長を務める内科・循環器科専門のクリニックには、いくつも病院を替えて渡り歩く患者が数多く来るという。どうしてそのような患者が世の中に大勢いるのか、その背景には何があるのか、セカンドオピニオンのあり方や病院選びの基準など患者はどのようにすればいいのかについて書かれたである。 検査してもなんともないのに足が冷たいと訴え、次々病院を替える人。心臓が痛いと訴え、検査してもなんともないが医者も後で責任を問われるのは避けたいので、とりあえずニトログリセリンを処方しておく。セカンドオピニオンをはきちがえている人。その分野の専門知識が不足しているのに医師免許の上では問題がないので専門医を掲げている医者。医療の現場ではそのようなミスマッチがたびたび発生する。 原因としては、大きく3種類あるという。まず第一に、医療を行う側の問題。患者の話を聞かない医師や、その背景になっている診療点数制

    yuuhiashita
    yuuhiashita 2019/04/13
    お医者様にもいろんな方がいらっしゃいますのね~
  • 重要な経営戦略理論を漫画でたどる。『マンガ経営戦略全史 確立篇』 - 密林の図書室

    著:三谷 宏治、イラスト:飛高 翔 「経営戦略全史」をマンガ化したもの。2巻構成になっており、前編にあたるこの確立編では近代のマネジメント理論が誕生した頃から1995年頃までに流行した理論を扱っている。以下のような人たちの理論が取り上げられている。 ・科学的管理法:フレデリック・テイラー。 ・効率的な大量生産システム:ヘンリー・フォード。 ・人間関係論の始祖:エルトン・メイヨー。 ・POCCCサイクルと経営管理による企業統治:アンリ・フェイヨル。 ・企業をシステムとして定義し経営戦略を共通の目的とした:チェスター・バーナード。 ・マネジメントの伝道師:ピーター・ドラッカー。 ・「3Sモデル」「ギャップ分析」や4つの戦略要素を提唱:イゴール・アンゾフ。 ・事業戦略と組織戦略の相互作用を説いた:アルフレッド・チャンドラー。 ・商品の絞り込みや作業や答えの標準化による組織改革コンサルティングを説

    重要な経営戦略理論を漫画でたどる。『マンガ経営戦略全史 確立篇』 - 密林の図書室
  • フェルメールの生涯解説などは姉妹編の方に書いてあるのでそちらを参照してもらうという前提の『フェルメール作品集』 - 密林の図書室

    著:小林 頼子 書の冒頭でも触れられているように、フェルメールは今や日でもっとも人気のある西洋画家の一人になっている。書では、真作として32作品を、すべて見開きで見右ページに作品のカラー印刷、左ページに簡単な解説文という形で紹介してある。『真珠の首飾り』など何作かは、さらに中央や各部のアップの写真も掲載されている。 真筆性について意見が分かれる作品4作はまとめて見開きで紹介されている。『ヴァージナルの前の女』は真作とされて2004年に日円にして33億円で落札されているが、著者は、より具体的な根拠の説明は無いものの、「様式的な細部で納得のいかない点があり」として、この4作品の中に含められている。 後半では、フェルメール作品で繰り返し登場するモチーフの比較、同じく当時の人々の生活を描き互いに影響を及ぼしあったと思われる他の画家の作品との比較を行い、「フェルメールは集中する女性がお好み」

    フェルメールの生涯解説などは姉妹編の方に書いてあるのでそちらを参照してもらうという前提の『フェルメール作品集』 - 密林の図書室
  • ハッシュと暗号技術の基本的な考えを丁寧に説明。『ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ』 - 密林の図書室

    著:岡嶋 裕史 ブロックチェーンの特徴を、主に暗号とハッシュ関連の基技術を中心に解説した。ブロックチェーンはたくさん種類があるが、Bitcoinの技術が中心になっている。ブロックチェーンには様々な種類があるが、こういうタイプのブロックチェーンがあるといった紹介ではない。 ハッシュ。公開鍵暗号方式。デジタル証明書。認証局。タイムスタンプトークン。マイニングプール。単一障害点。UTXO。基的に数式は使われていない。図と文章による解説である。 ブロックチェーンの技術については既にいくつもの種類のがある。もう特別新しい技術ということではないので、どれだけ上手にわかりやすくあるいは深く説明しているか、ということがポイントになる。このは、ハッシュと公開鍵暗号の仕組みを一般向けにわかりやすく、しかし肝心なところは丸めたり飛ばしたりせず、ページ数をかけて丁寧に説明することに腐心して書かれている

    ハッシュと暗号技術の基本的な考えを丁寧に説明。『ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ』 - 密林の図書室
  • 丁寧なイラストによる解説。『オールカラー 徹底図解 日本の城』 - 密林の図書室

    著:香川 元太郎 城の。全国百名城というようなタイプのではなく、城の役割や地形との関連や構造について解説したものである。 特徴としては、「徹底図解」とあるように、イラストレーターでもある著者が描き上げたイラストを豊富に掲載し、ビジュアル的に理解できるようにしてあることである。 テーマごとに書かれてあり、おおむね、見開きで左ページが解説、右ページがイラストになっている。 城とはそもそもどういうものか。城・繋ぎの城・伝えの城・根城・境目の城の役割。土の城から石の城。縄張・普請・作事。曲輪。切岸・堀切・竪堀・横堀。虎口。城門・土橋・木橋。火の見櫓・月見櫓・鐘楼・太鼓櫓。天守閣。御殿。番所・厩。陣城・付城。攻撃と防御。 それにしても、とても分かりやすく、精巧なイラストの数々である。縄張りや周囲も含め、当時の様子そっくりそのままで現代に残っている城なんて無いのだから、当時の様子をビジュアル的に

    丁寧なイラストによる解説。『オールカラー 徹底図解 日本の城』 - 密林の図書室
    yuuhiashita
    yuuhiashita 2019/03/14
    いつかお城めぐりもしてみたいなぁ。大阪城ぐらいしかしっかり見たことないかもです(´・ω・`)
  • 意味をイメージして理解する。『目で見る英文法 前置詞ダイヤル』 - 密林の図書室

    著:晴山 陽一 英語をイメージによって理解しようというコンセプトのが最近増えているが、これもその一冊である。 以下のような感じで、まず、前置詞ひとつにつき、時計のような右回りの回転でまとめた一枚の図がある。そして、それぞれ例文が複数掲載されて感覚的にそれぞれの前置詞が持つ意味を立体的に理解しやすいようにまとめられている。 in:空間(in Tokyo)、時間(in 2020)、状況(in a hurry)、心理(be interested in)、着用(in white)、単位(in dozens) for:方向・探求(for Kyoto, call for help)、賛成・利益(I’m for)、理由・関連(for joy, young for her age)、範囲(for months)、主従・交換(easy for me, take A for B) of:部分・所有(one

    意味をイメージして理解する。『目で見る英文法 前置詞ダイヤル』 - 密林の図書室
  • 森山大道『にっぽん劇場写真帖』 - 密林の図書室

    著:森山大道 1968年に発刊された森山大道の写真集『にっぽん劇場写真帖』が改めて出版された。重厚な大型で、印刷も良く、巻末にはひとつひとつの作品についてのデータや初出一覧も掲載されており、丁寧に仕上げられている。当然、森山大道の言葉もあるし、寺山修司の文も収められている。 「アレ・ブレ・ボケ」が代名詞の写真家であり、当時写真界に衝撃を与えたこの写真集は、デビュー作であり代表作のようにも言われる。森山大道の作風は独自であり、奇抜であり、今見ても何が写っているのかよくわからない、どうしてこれをこう撮りたいと思ったのか人にも当の意味では説明がつかないのではないかというカットがいくつもある。 ただ、同時に、21世紀の日でこの写真を見ると、やはりこれは写真だな、と思う。それは被写体にある昭和感が証明しており、平成が終わる日にも意外なほど当時の系譜はそこかしこに残っているとはいえ、やはり同

    森山大道『にっぽん劇場写真帖』 - 密林の図書室
  • 一人の天才が引っ張るのではなく、チームのモチベーションを刺激する時代。『チームを動かすファシリテーションのドリル』 - 密林の図書室

    著:山口 博 現代は一人ひとりの個性と自主性を尊重する時代である。昔に比べれば、怒鳴り、なだめすかして、ぐいぐいひっぱるという独裁者的なリーダーが通用する場面は限定的になってきていると思う。 このは、組織の内外の人々の一人ひとりを尊重しながら、うまくそれを成果に結びつけるためのプレゼンや対立の調整や会議運営や合意形成の方法について、演習形式で解説したである。全体の構成としては、以下のようになっている。 第1章 聞き手を引き付ける表現力 第2章 プレゼンテーション構成力 第3章 リアクションによる誘導力 第4章 メンバーを巻き込む合意形成力 第5章 当事者同士を対立させない懸念解消力 第6章 柔軟思考による課題解決力 内容としては、アイコンタクトの使い方、適切なリアクションによる誘導、プレゼンの5つのポイント(背景・自己紹介・目的・時間配分・聞き手に期待すること)、モチベーションのファク

  • 実は深い、ラジオ体操の歴史。『素晴らしきラジオ体操 』 - 密林の図書室

    著:高橋 秀実 「なぜって、あんた、ラジオ体操ですから」。 「雨が降ろうが雪が降ろうがあたしは休めません」。 「お百度参りと一緒です。行かないと気が済まないんです」。 「ラジオ体操してると死なないんです」。 「照れちゃダメよ。照れると背筋もピッと伸びないから」。 予想以上に深くて面白かった。テーマは、おなじみのラジオ体操。1998年に出版されたの文庫化である。2012年12月付の「文庫版あとがき」が追加されている。 まず、高齢化が進行する中、新老人たちが続々「ラジオ体操人」化する現象が各地で顕著になっている状況を取材し、その様子や、最初に紹介したような声をユーモラスに紹介している。 中には、ラジオ体操のために「JAPAN」の文字が入ったお揃いのユニフォームを作り、途中の機内でも欠かさず体操しながら海外遠征を行うご老人達もいるという。戦後のラジオ体操の改訂版を作った人にも取材している。 「

    実は深い、ラジオ体操の歴史。『素晴らしきラジオ体操 』 - 密林の図書室
  • ヨーロッパのGDPRは単なる法律の問題ではない。『さよなら、インターネット――GDPRはネットとデータをどう変えるのか』 - 密林の図書室

    著:武邑 光裕、解説:若林 恵 ヨーロッパのGDPR登場の背景とその意味を、ルールそのものの解説というよりは、アメリカを中心とするネット企業と欧州各国とのデジタルデータに関する文化的・文明的あるいはイデオロギー的な対立軸の側面から解説した。 GDPRは単なる法律の問題なのではない、という主張を展開しているところに特徴がある。 GDPRの重要な規制には、以下の4つの柱があることが説明されている。 1.忘れられる権利:個人が望まず、かつ企業側がその個人のデータを保持する正当な理由がない場合は、企業は削除要求に応じる必要がある。 2.データへのアクセスの容易性:個人が、データの処理方法に関する情報をわかりやすい形で利用できるようにし、データの移植性の権利を持つこと。 3.データがいつハッキングされたかを知る権利:企業は個人データが危険にさらされたら速やかに監督当局に報告し、ユーザーが適切な措置

    ヨーロッパのGDPRは単なる法律の問題ではない。『さよなら、インターネット――GDPRはネットとデータをどう変えるのか』 - 密林の図書室
  • 画像処理、文字認識、テキスト分析と、Pythonでの機械学習のプログラミングが学べる。『すぐに使える! 業務で実践できる! Pythonによる AI・機械学習・深層学習アプリのつくり方』 - 密林の図書室

    著:クジラ飛行机、杉山 陽一、遠藤 俊輔 同じ著者の「実践力を身につける Pythonの教科書」が良かったのでこちらも買って学習してみた。 Python言語でscikit-learnとTensorflow及びKerasを活用し、データ予測、写真と動画の認識、文字認識、テキスト分析といった機械学習の処理を実際にどのように行えばいいか、サンプルプログラム中心に解説したである。 画像処理用にOpenCV、日語テキストの処理のためにMecabも利用する。Anacondaのインスト、Google Colaboratoryの使い方についても簡単に載っている。 機械学習の理論的な説明を重視したではなく、あくまでもプログラミングのための教則に特化した内容である。なので、機械学習の理論自体は他ので勉強する必要がある。サンプルプログラムは全て、専用のWebサイトからダウンロードでき、実行できる。 プ

    画像処理、文字認識、テキスト分析と、Pythonでの機械学習のプログラミングが学べる。『すぐに使える! 業務で実践できる! Pythonによる AI・機械学習・深層学習アプリのつくり方』 - 密林の図書室
  • 入手困難な逸品も含むいつかは食べたい百銘菓。『日本百銘菓』 - 密林の図書室

    著:中尾 隆之 かつては旅の土産として、木彫り熊・人形・こけし・陶器などの民芸品が好まれたが、最近はそのようなモノは、飾る場所をとることや趣味の問題で以前ほどは好まれなくなり、手軽にすぐべられる銘菓が人気だという。 書は、全国を旅して5,000種類以上の銘菓をべてきた人が書いた銘菓案内のである。著者は、テレビチャンピョンの「全国お土産銘菓通選手権」で優勝したこともあるという。 こので取り上げられている銘菓は、以下の選考の基準に基づいているという。 歴史・風土などの地域性がある 老舗ならではの風格と品格がある 日保が3~4日以上ある 個包装で風味と清潔感がある 大きさ・重さ・見栄えが良い 人気・話題性がある 個性的でユニーク・希少性がある 百銘菓となっているが、文章の中でここもおいしい、というような形で言及されている店もあるので、それらも加えるともっとある。また、「もみじまんじゅう

    入手困難な逸品も含むいつかは食べたい百銘菓。『日本百銘菓』 - 密林の図書室
    yuuhiashita
    yuuhiashita 2019/01/20
    木彫りの熊懐かしい(´∀`*) 函館大三坂 菓子舗喜夢良知りませんでした~。おしゃんてぃーな食べ物ですねぇ♪
  • 前作のおまとめも各所にあり、『超一流の雑談力』を読んでいなくても大丈夫。『超一流の雑談力「超・実践編」』 - 密林の図書室

    著:安田 正 雑談のテクニックについて述べた。ベストセラーになった『超一流の雑談力』の続編である。 前作を読んだ人の要望を反映し、さらに前作のおさらいも盛り込んであるという。また、たとえ話やオチをつける方法も加えたという。それぞれのテクニックの解説の最後に、おまとめとして、前作で紹介したことと、この「超・実践編」で紹介したことが要約されている。 雑談では、話の内容より先にテンポを合わせる。そのためには、話が遅い人と早い人で言葉や反応の速度を変える。軽い失敗談や自虐を自己開示に使う。雑談では声の大きさの調整でペースが作れる。 地域ネタを制する者は雑談を制する。聞き上手になるには、キーワードを拾って聞く。オウム返しをする。「何か特別なことをされているんですか」のように、相手の思い入れの強い部分を引き出す。相手のタイプを見極める。 あいずちの「さしすせそ」などは、わかりやすい。さらに、これに一

    前作のおまとめも各所にあり、『超一流の雑談力』を読んでいなくても大丈夫。『超一流の雑談力「超・実践編」』 - 密林の図書室
    yuuhiashita
    yuuhiashita 2019/01/17
    さしすせそは色んな表現に使えるのですねぇ(´∀`*)
  • サッカー・ワールドカップ・南アフリカ大会でベスト16に貢献した中澤佑二選手のエリートコースとは無縁の躍進。『下手くそ』 - 密林の図書室

    著:中澤 佑二 40歳で引退を表明したサッカー日本代表CBの中澤佑二選手が、2014年に出したサッカーの南アフリカワールドカップでベスト16入りに貢献し、田中マルクス闘莉王選手と鉄壁のツインタワーを形成して対戦国の猛攻を跳ね返し続けた姿は、今でも強烈に目に焼き付いている。 ところが、これほどまでの選手になったのに、書に「僕ほどサッカーが下手くそだったプロ選手は、おそらくいないだろう」とあるように、中澤選手は高校は強豪校ではない県立高校に行き、全国大会に出たわけでもなく、サッカーでは全く目立たないキャリアだった。 それが、どうしてここまで来れたのかを、「下手くそ」という言葉をキーワードにしながら、こので素直に振り返っている。 下手くそだから工夫する。下手くそだから努力する。下手くそだから考える。自費でブラジル留学して、その後はニートとなり、なんとか練習生として潜り込んでプロのきっか

    サッカー・ワールドカップ・南アフリカ大会でベスト16に貢献した中澤佑二選手のエリートコースとは無縁の躍進。『下手くそ』 - 密林の図書室
    yuuhiashita
    yuuhiashita 2019/01/16
    中澤懐かしい、ボンバーヘッド♪
  • 自立した国際派女性の先駆け。31年続いた兼高かおる世界の旅。『わたくしが旅から学んだこと 』 - 密林の図書室

    著:兼高 かおる 先日、90歳で亡くなった兼高かおるさんのエッセイ。パンナムの提供で長く続いた『兼高かおる世界の旅』というテレビ番組を31年務めた人である。そう苦労することなく、あっさり読める。 おてんばだった子供のころ。アメリカへの留学。体調を崩して一時帰国したら当時留学に必要だったスポンサーのサポートが得られなくなってしまったこと。 英語力を生かしてジャーナリストに転身。早回り世界一周記録を持っていたカボリー氏のインタビューがきっかけで自身も挑戦を計画し、プロペラ機による最速の世界一周記録を作って注目されたこと。 その後、海外取材番組に抜擢され、やがて『世界の旅』を始める。当初予定は2年だったそうだが、それが31年も続いた。それが打ち切りになったときの経緯についても書かれている。 「『これしかない』わたしはこの言葉が好きではありません。断定的でいかにも強そうですが、このような発想は考え

    自立した国際派女性の先駆け。31年続いた兼高かおる世界の旅。『わたくしが旅から学んだこと 』 - 密林の図書室
  • もうひとつの坂の上の雲。たくさん存在する日露戦争に関する本の中でも屈指の一冊。『日露戦争、資金調達の戦い―高橋是清と欧米バンカーたち』 - 密林の図書室

    著:板谷 敏彦 戦争にはカネがいる。ましてや、近代戦はおびただしい兵器と物量を必要とするため、カネがなければ勝てない。実は、日露戦争もそうだった。このは、日露戦争について、国際的な資金調達合戦の視点から解説した書籍である。 同時に、資金調達及び証券市場という面から、日ロシアだけでなく、イギリス、アメリカドイツ、フランス及びそれらの国の人々が、様々な利害と思惑を交錯させながら、この戦争をどのように見て、その評価がマーケットでどのように変わっていったかについても、明らかにしている。 不可避となったロシアとの戦争を直前に控えながら、明治時代の日にはカネが無かった。 しかも、開戦後の実際の戦費は予想をはるかに超えて膨らむ。日政府は増税や国内債券発行を行うが、そのような国内の金策だけでは全く足りない。武器弾薬や鉄などの輸入品への支払いも必要。加えて、金位制という足かせがある時代である。

    もうひとつの坂の上の雲。たくさん存在する日露戦争に関する本の中でも屈指の一冊。『日露戦争、資金調達の戦い―高橋是清と欧米バンカーたち』 - 密林の図書室
  • オープン・イノベーションの教科書――社外の技術でビジネスをつくる実践ステップ - 密林の図書室

    著:星野 達也 少し前のである。今では日でもビジネス用語として定着してきた感の強い「オープン・イノベーション」について解説した。昨今はIT分野でもオープン・イノベーションが盛んだが、このは基的にモノ作りに関する話が中心である。 オープン・イノベーションという言葉は、ハーバード大学教授だったヘンリー・チェスブロウが2003年に出版したで紹介したことをきっかけに、幅広く知られるようになったという。 著者は、オープン・イノベーションが広がってきた理由として、以下の3つを挙げている。 1.知識労働者の増加と分散 2.社外組織の技術力向上 3.仲介業の成立 また、オープン・イノベーションにはいくつかタイプがあり、以下のように整理されている。 1.自由参加のコンソーシアム型:知見を持ち寄って創造する。利益は参加者で享受。 2.戦略的提携型 (1)技術探索型:外部の技術を探して取り込む (2

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  • この1冊でまるごとわかる 人工知能&IoTビジネス2018-19 (日経BPムック) - 密林の図書室

    編:日経クロストレンド 今や、人工知能大ブーム時代である。IoTも、産業界ではかなり浸透した感がある。書は、日経済新聞系列の雑誌から、AIとIoTについてのトレンドを扱った記事を集めたである。 薄いが、ムックサイズでオールカラー。技術的に深いことは書かれておらず、一般のビジネスマン向けの内容である。たいした基礎知識はいらない。 最初は、3人の著名人のインタビューが載っているが、有名なレイ・カーツワイルのインタビューは、分量があまりに少なく、がっかりした。 キーワード解説は、それぞれ参考となるのおすすめと宣伝を兼ねている感じである。IoT, MaaS, マルチクラウド, VR, 自動運転, FinTech,リテールテックといったものが取り上げられている。 ケーススタディでは、スシロー、小田急、アリババ、いろいろなビッグデータ事例、AI人材育成について、というようなことが載っている。

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  • 宮下奈都は良い作家だし、本屋大賞を受賞し、映画化もされたが。。。『羊と鋼の森』を読んで - 密林の図書室

    著:宮下奈都 宮下奈都は、以前読んだ『スコーレNo.4 』が、とても良かった。地味ながら一人の女性の成長を見事に描いた傑作で、素晴らしい余韻が心に残った。名作だと思った。その同じ著者が書いた別の長編が、屋大賞に選ばれ、120万部も売れ、映画化もされたという。文庫化されたし、これはぜひ読んでみたいと思って、手に取った。 主人公はピアノの調律師。高校を卒業して専門の学校で学び、見習いの調律師になった若者が、異なる個性の先輩たちのプロフェッショナリズムや、調律の現場、お客様の姉妹といった人たちと触れ合いながら成長の道を歩む、という話である。 テーマと着眼点はとても良い長編である。実際に何人かの調律師に取材してナマの声を集めて生かしているそうで、その人たちへの謝辞も書かれている。また、この著者は内容はこの作品とは全く異なるが音楽をテーマにした『よろこびの歌』という小説を過去にも書いており、音楽

    宮下奈都は良い作家だし、本屋大賞を受賞し、映画化もされたが。。。『羊と鋼の森』を読んで - 密林の図書室
  • 社内の新規事業を次々立ち上げ、社外でラクスル等を、さらに週末起業まで。起業のプロが語る。『守屋 実のザ・イントレプレナーシップ 』 - 密林の図書室

    著:羽幡 咲嬉 ミスミで新規事業をいくつも立ち上げ、さらに「ラクスル」「ブティックス」の創業期も支えた国内屈指の新規事業のプロにインタビューした内容をまとめた。守屋氏のアドバイスや支援を受けた元サッカー日本代表の鈴木啓太氏とミーミル代表の川口荘史氏のインタビューも掲載されている。Kindle版で読んだ。 守屋氏は成功も失敗もたくさんしている。しかも、社内で新規事業をいくつも立ち上げ、さらにスタートアップ企業でもいくつも成功している上に、週末起業までやっている。また、失敗もいくつもしている。 これだけのことを一人でやっている人は他にいない。また、これだけ経験していると、かなり説得力を持って一般化できる教訓になっている。 参考として、後半にまとめて紹介されている「イントレプレナーの精神」を一覧化してここに掲載しておく。 1.テクニックの前に精神 2.今すぐ 3.やり方の前に、在り方 4.着

    社内の新規事業を次々立ち上げ、社外でラクスル等を、さらに週末起業まで。起業のプロが語る。『守屋 実のザ・イントレプレナーシップ 』 - 密林の図書室