「大輪の華が咲いた」 ――表彰台の頂点に立つ彼を見て、まずそう思いました。 晴れやかな笑顔で国旗を纏い、軽やかにリンクを滑走し、金メダルを手にした羽生結弦選手。日本男子で初の五輪フィギュアスケート競技の金メダリストは、東北、仙台から生まれました。 私も、東北に住む人間として、同じ東北の出身者が好成績を収めるのは大変嬉しい事でした。フィギュアスケートのファンとして、同じように好きな選手は他にもたくさんいますし、彼はジュニア時代から将来を嘱望されていた選手なのだから、「震災経験者」という物語を過剰に求めるのは控えたい、と前回のコラムにも書かせて頂きました。それでもやはり震災という苦難を経験した選手が、最も輝かしい色のメダルを手に出来た事は、感慨深いものがありました。(安積咲) ○「復興に役立ちたい」 彼ならではの重み 今回も、現地で東北出身の観戦者を探していたメディアもあったようで、やはり分