ブレイディみかこが『THIS IS JAPAN』を著してから3年。アメリカではトランプが大統領となり、イギリスではメイに代わってボリス・ジョンソンが首相となった。停滞、格差、分断がキーワードとして繰り返し取り上げられる中、旧来の「右vs.左」とは異なる「上vs.下」の構図が、瞬間的には描かれる。しかしすぐさま、人々の高まった不満は、ポピュリズムの構図へと着地する。 ポピュリズムはそれ自体、悪ではない。衆愚政治や大衆迎合と訳されることもあるが、直訳すれば大衆主義となる。「エリートたちの政治はうまく機能しておらず、我々の不満を解消できていない」。このようなリアリティから唱えられる反エリート主義は、人々の政治的関心を高め、動員に成功する。 問題は、そのポピュリズムが何と結びつき、どこにいくか、だ。反移民と自国第一主義との結びつきは、今や欧米各国で観測できる。他方で、反貧困・福祉強化を訴えるサンダ