7年前の13年5月12日。24歳の現役ラガーマンが、胃がんで早すぎる生涯を終えた。ひたむきなタックルで見る者の心を揺さぶり、将来の日本代表入りが期待されていた。わずか1カ月の闘病では、弱い姿を見せることなく、黙々と最後まで戦う「侍」だった。命日に集まった周囲の証言。これは誰もが尊敬を示し、今も愛され続けている男の歩みである。 【取材・構成=松本航】 ◇ ◇ ◇ その時、病室の窓から朝日が差し込んだ。13年5月12日、よく晴れた日曜の朝だった。ぬくもりを感じる光が、短すぎる24年の足跡を照らしているようだった。 生きる-。最後は正気だったのか、薬の副作用による幻覚だったのかは分からない。それでも人工呼吸器を付け、183センチの体を激しく揺さぶった。酸素を必死に吸い続けた。2人の兄と姉に見守られ、息を引き取ると、穏やかな顔になった。直後に太陽が全身を包んだ。そこには、あれほどの愛情を注