--地震学と一般社会の隔たりを感じるか 「以前から地震予知への過剰な期待と誤解があると思っていたが、大震災後は特に感じる。『お前たちが予知できないからだ』『給料を全部返せ』といった電話や電子メールがものすごく増えた。ただ、地震学者がそう思わせてきた節もあるだろう。例えば最近、首都直下地震が4年以内に70%の確率で起きるという話があったが、確率で出している限り予知にはならない。それなのに世間は決定論的に受け止め、『4年間は家を買わない』『地震が来る前に教えてくれるんでしょ』といった声が出ている。今回の大震災は『絶対に起きない』と言っていたことが起きてしまった。それだけに地震学の世界はものすごく変わり、社会とのつながりをより意識するようになった」 --地震研究の成果を社会にどう役立てるか 「お茶の間レベルで啓発するなら、発生確率よりも『家のこの部分を補強して』『この家具は固定を』などと言う方が