2015年02月06日16:51 カテゴリ言語について 「国民無視の民主主義」と「危険な安全保障」 いま「言葉と歩く日記」(多和田葉子・岩波新書)を読みはじめている。不思議な本で、目次がなくていきなり一月一日の日記からはじまり、それが四月十四日まで続くらしい。著者はドイツ在住で、日本語とドイツ語で小説を書き、両方の国で文学賞を得ているということだ。この人の言語感覚が、日常の暮らしを通して語られるのが、なんとも面白い。 暗い話題に疲れてネット漂流していたら、立ち読みでこの本の魅力に取り付かれたという人の記事があったので取り寄せてみた。読み始めてすぐ、一月五日のところにスイスの温泉に行った話があり、「熱い湯」とか「冷たい湯」とか、いろいろな種類の湯があると説明しながら、日本語では「冷たい水」と言わなければならないことに気づく。日本語では温度によって「水」は「湯」という別物になるのだ。 ここで著