秦郁彦氏が日本軍「慰安婦」の総数についての推定を下方修正し続けてきた歴史についてはすでに多くの方が指摘している。だが3月17日に日本外国特派員協会で行った会見で、秦氏は他にも過去の自分の著作を否定するかのような発言をしている。マグロウ・ヒル社の歴史教科書に、「慰安婦」が「天皇からの贈り物である」という記述があることについて、秦氏は「国家元首に対する、あまりにも非常識な表現だろうと思います」と述べた。だが1999年の著作『慰安婦と戦場の性』は『元下級兵士が体験見聞した従軍慰安婦』(曾根一夫、白石書店、1993年)を援用し、「慰安所」に行こうとする兵士たちに上官が「大元帥陛下におかせられましては、戦地に在る将兵をおいたわりくだされて、慰安するための女性をつかわしくだされ……」と訓示した例があることを紹介している(74ページ)。秦氏はこの事例について「隊長たちは、部下兵士たちに慰安所を使わせる名