真剣な表情で野鳥のさえずりに耳を澄ます吉邨さん。「舗装された山道にゴミは落ちていないが、鳥や植物は減ってしまった」と話す(5月2日、高尾山で) 都心から電車で約1時間と近く、年間を通じて多くの登山客が訪れる高尾山(東京都八王子市、599メートル)。 しかし、「日本野鳥の会東京」会員で中野区の会社役員、吉邨(よしむら)隆資さん(56)は、舗装された登山道でため息をついた。「ゴミは落ちておらず、表面上はきれいかもしれない。しかし、その実態は病んでいるとしか言いようがありません」 ◆ミシュラン三つ星 吉邨さんは都立高校の生物部員だった1973年、野鳥観察を始めた。89年からは会社勤めの傍ら、高尾山で毎月1回、野鳥の個体数や生息密度を記録するため定点調査を続けている。 高尾山の野鳥の個体数は、2007年に仏ミシュランの日本旅行ガイドで三つ星を獲得した翌08~10年、入山者数の増加に反比例する形で減