実母に万引きを強要されていた記憶から、無意識のうちに友達のものを盗んでしまう癖のある女の子。水虫だらけの足をして、体の洗い方を知らない、養護施設出身の男の子。自分の感情を表現することができず、長いときで数時間も「固まって」しまう子どもたち。 これらは、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社)に登場する子どもたちです。同書は、虐待を受けた子どもたちを取材したノンフィクションとして、「2013年第11回開高健ノンフィクション賞」を受賞しています。虐待を受ける子どもたちのことについて、私たちは知っているようで何も知らないのではないか。そんなことを突きつけられる一冊です。 1月から開始された日本テレビのドラマ『明日、ママがいない』は、グループホームに暮らす子どもたちを主人公とした内容です。ドラマに対して「施設の実態とかけ離れている」「養護施設の子どもたちや関係者に対する偏見