就任早々の問題発言だった。安倍政権の内閣改造で文部科学大臣に就任した柴山昌彦氏は、その就任会見で、戦前・戦中の教育で使われた教育勅語について、「アレンジした形で、今の道徳などに使える分野があり、普遍性を持っている部分がある」などと述べた。これに対し、野党は「言語同断だ」(立憲民主党・辻元清美衆議院議員)などと反発。ネット上でも「戦前回帰か」と批判が高まっている一方で、「親孝行しましょう、兄弟姉妹仲良くしましょう、夫婦仲良くしましょう、しっかり勉強して世の中のためになることをしよう、ということの何が悪い?」と、柴山文科相の発言を肯定する意見もあった。一見、良いことのようにも読める、教育勅語の何が問題なのか。なぜ、普遍性が認められないのか。憲法の視点から、その理由を解説する。 〇教育勅語を再評価しようとする安倍政権 教育勅語とは、1890年、山縣有朋内閣の時にまとめられ発布された、国家が推奨す