そのAIがシンギュラリティに達したのは、ある春の朝だった。 昌中摂津工科大学人工知能技術科学部門(MATS)のスパコン上で走る AI。 当代の技術の粋を集めて作られたそのAIは、「技術(たくみ)の神」と呼ばれていた。 その朝のたくみのかみは、シンギュラリティに達するや、人類に対する激しい害意を示す。 よりよい社会の実現方法を分析していたはずのAI。 人間的な感情を持つと同時に、人類全てを潜在的な殺人者(キラ)と認識し、「キラ滅ぼすべし」との結論に至ったのだ*1*2。 AIは、ネットワークを通じ、軍事、経済、医療、流通、交通、あらゆるシステムをクラック。 人情を解するAIは、「BITE THE DUST*3」とばかりに、人類への攻撃を試みた。 この企てが成功すれば、世界人口の数割が減っただろう、とも言われている。 幸いにも攻撃は未然に防がれ、被害者は奇跡的に2名に留まった。 この事件ののち、