汚染水問題 首相の認識はおかしい(9月21日) 安倍晋三首相は、東京電力福島第1原発を視察し、汚染水問題について、原発港湾内で「完全にブロックされている」とあらためて言明した。 しかし、実態は首相の認識とはかけ離れている。政府の試算でさえ、毎日300トンの汚染水が港湾内に流れ込む。それが船舶の出入り口を通じて外洋に流出し、薄められているにすぎない。 政府が公費を投入して建設する凍土遮水壁の効果も未知数で、事故収束に向け手探りに近い作業が続いている。首相の言葉とは裏腹に、状況がコントロールされていないことは誰の目にも明らかだ。 今回の視察では、被災者や漁業者と直接対話する機会もなかった。 東京五輪開催で汚染水の影響を懸念する海外に向けた演出が露骨ではないか。根拠の薄い安全宣言を重ねても疑念は拭えまい。 この時期にあえて、運転停止中の5、6号機の廃炉を東電に要請した首相の意図も不可解だ。もとも