最初に、事実誤認を指摘しておく。本書の226ページに、著者が「余暇」を介護に当てるのと「職業」として行なう介護サービスの「結果は同じ」といっているのはおかしい、と「池尾和人氏に指摘された」と書かれているが、これは私が「アゴラ」の記事で指摘したことだ。池尾さんが指摘したのは別の点で、これは本では訂正されている。 それはさておき、本書は日経ビジネスオンラインの連載をまとめたもので、テーマは「経済危機後」の世界と日本を考えるものだ。その批判のターゲットは池尾・池田本でも提唱した「内需拡大」だが、その内容を正確に理解しないで(池尾さんのいう)「藁人形」論法になっている。池尾さんも私も「外需がこれ以上必要ない」と言ったことはない。今年の経済財政白書も「成長を維持するには内需だけではだめで、輸出も重要だ」と書いているが、それは自明の理である。われわれは輸出の伸びには限界があり、製造業だけの「片肺飛行